
今回の書評は、『Think CIVILITY シンク・シビリティ 「礼儀正しさ」こそ最強の生存戦略である クリスティーン・ポラス』だ。
ビジネス書では最近あまり訊かない「礼儀」について書かれた本である。
時代はどんどん変化しているが、「礼儀」だけは今後も変わらない大事なことであると言えるだろう。
本書を読んで「礼儀」の大事さについて改めて考えてほしい。
冒頭から一文を引用してみよう。
「私はどういう人間になりたいのか」と自分に問いかけながらこの本を読んでほしい。
『Think CIVILITY シンク・シビリティ』がオススメの理由

・48パーセントの人が、仕事にかける労力を意図的に減らす。
・47パーセントの人が、仕事にかける時間を意図的に減らす。
・38パーセントの人が、仕事の質を意図的に下げる。
アメリカ心理学会(APA)の調査によると、職場のストレスによってアメリカ経済にかかるコストは1年に5000億ドルにものぼるという。
これらすべてが礼節で解決できるとは思わないが、ストレスというのは日本だけでなくアメリカでもその他の国でもそれだけ経済的なダメージが大きいということなのだ。
人は誰かのために、と思って頑張れる生き物だと思っている。ゆえに周囲に礼節にかける人がいるとがんばれなくなるのは必然である。
そういった事態を把握し、改善するには、本書はまさに礼儀を改めて学ぶために最適の本と言えるだろう。
かつて日本では「礼儀」や「礼節」は大変重要なものとされ、それが日本という国を形作ってきたと言えるだろう。
しかし昨今はグローバル化も進み、「礼儀」というものが薄れてきたと言える。
日本以外の国が礼節に欠けるというわけではなく、国ごとに大切なものが違う、という感覚で見ている。
ゆえに、礼儀に関してはズレが生じるものだと思っている。
お互いがお互いの礼儀を知り、接していくことが今後は更に求められるのであろう。
望ましいとされるリーダー像は、「気配り」「優しさ」「思いやり」

今、望ましいとされるリーダー像は、「気配り」「優しさ」「思いやり」など従来「女性的」とされてきた資質を持った人らしい。
どうしても男性的な、周囲にあれこれ檄を飛ばしたりして目立ったほうがリーダーに向いていると周囲も思いがちだ。
声が大きく目立つ人が重要なポストにつくというのは今でもあるが、それは少しずつ変わっているのかもしれない。
重要なのは、人格はともあれ「気配り」「優しさ」「思いやり」、この3要素を持っているかどうかである。
目立つ上に、この3要素を持っていれば最強だろう。
目立たなくてもこの3要素を持っていれば活躍できるだろう。
しかし、目立たない人の試練として出てくるのが、目立つ人からの恫喝や追求である。
しかもこの追求が理不尽なものであるほど、困ってしまう場合が多い。
声が大きい人ほど、ド正論をぶちまけるからだ。
ド正論は、正しいのだが「それを言ったところで」と周囲が思うものなのだ。
これは私見だが、「ド正論は悪である」と思っている。
ゆえに、声が小さく目立たないが能力のある人は、声が大きく目立つ人からの追求に負けないための対応を身につける必要があるだろう。
それさえも、「優しさ」や「思いやり」で包むことができたなら最高だが。
印象の38パーセントは声や話し方で決まる

印象の38パーセントは声や話し方で決まる
ここでは印象について書かれている。
印象の38%は声や話し方で決まる、とのことだ。
もっとパーセンテージは高いと思ったくらいだが、やはり内容よりも外見から受け取るイメージからの影響は少なくないようだ。
第一印象が大事、とは昔から言われている。
しかし、これを意識し本当の意味で実践できている人は少ないと思う。
表情、姿勢、身だしなみ、このあたりを完璧にやっている勤め人がどのくらいいるだろうか。
男性であれば、髭の剃り残しや髪の乱れ、その他ニオイに対しての意識が足らないことが多い。
女性は男性よりも身だしなみへの意識は高いが、派手なアクセサリーや、ニオイは香水をつけすぎていたり、これは男性にも多いのだが女性も口臭へのケアが足らない人が意外に多い。
身だしなみについては、やはり身近な人に指摘してもらうことが必要だと思う。
赤の他人からは指摘しづらいものだ。
ゆえに、夫婦や恋人同士など、スキンシップを頻繁にとっている人のほうが、身だしなみがしっかりしているし、そのほうが内面から輝くのだと思っている。
声のトーンや話し方などについては、自分の声をボイスレコーダーに録るなどして聞いてみると良い。
自分の声を聞くというのは恥ずかしいことだが、それに慣れてしまうと自分を客観的に見られるようになり、また成長できる。
改めて人から見る自分の印象について考えてみると良いだろう。
