
今回の書評は『ストロング本能 青木真也著』だ。
本書は仕事や人間関係で悩む人に具体的な対処法や考え方を授けてくれる自己啓発本のような内容になっている。
冒頭から一文引用してみよう。
あなただけの個性を殺してはいけない。
著者は過去には「PRIDE」や「DREAM」、現在は「ONE FC」などの総合格闘技で活躍を続ける格闘家である。
青木選手のことを知らない方はツイッターをチェックするといいだろう。
試合1ヶ月前の気持ちを。大丈夫。|青木真也 shinya aoki @a_ok_i|note(ノート) https://t.co/dAJ4zLR8iy
— 青木真也 shinya aokiストロング本能 (@a_ok_i) February 27, 2019
Contents
ストロング本能、恐怖の分析が冷静な挑戦を可能にする

恥ずかしい話ですが、僕はいまだに試合をすることが怖いのです。でも、だからこそ「この怖さの正体は何なのか? どこから来るものなのか?」を毎試合きちんと冷静に分析しています。
これには驚いたと同時に、やはり同じ人間なんだな、という感想を持った。
格闘家は入場してくるとき、誰もが自信満々で登場し、あたかも緊張していないように見えるが、実はそうではないということだ。
それはそうだろう。これから人と殴り合いをするわけだから、緊張や恐怖を感じないわけがない。下手をすれば命を落とす可能性もあるのだから。
だが特に青木選手は恐怖を感じていることなど微塵も見せずに入場し、こともなげに戦い、そして勝ってしまう。
それは恐怖への対処法を知っているからなのだ。
青木選手は恐怖の正体が何なのか、それを常に分析しているのだ。そうやって恐怖を客観的に見ることで、怖れるに足らずということがわかり、冷静に戦えるのだろう。
これはいわゆる勤め人にも有効だろう。
仕事をしていれば緊張や恐怖を感じることはあるだろう。その際に青木選手のように分析することで乗り切ることができるのではないか。
分析すればわかることだが、恐怖や緊張は幻想なのだ。ありもしないものを想像し、悪い方へ考え、ただひとりで緊張しているというのが実態だったりする。
恐怖を感じたら、青木選手の真似をしてその場を乗り切ろう。
ストロング本能、余計なことを言ってくるやつには「うるせぇバカ」でいい

お節介なことに、みんな僕のことを正そうとしてくるのです。「おまえの考えはおかしいぞ」「こうしたほうがいいぞ」と。
そのときに、僕はちゃんと感情的に怒ります。
「うるせぇバカ、このやろう」と伝えるわけです。
実際に一般人がこの言葉を言うと、会社で問題になりそうなので、使うときは覚悟して使おう。
言葉にしないまでも心の中で唱えるだけでも効果があると思う。
なんでもかんでも過大な要求をしてくる人や、あたかも正論めいたことをぶつけてくる人がいるが、そういった言葉には反論はしづらいものだ。
その言葉にはわずかでも正しさが含まれているからだ。
だから、反論したくてもできないときは、「うるせぇバカ、このやろう」と心の中で唱えよう。
それだけで気持ちは軽くなるだろうし、とりあえずやってみるかという気持ちにもなるだろう。
要は簡単に心を相手に明け渡すことをしなければいいのだと思う。
心さえ屈服しなければまた戦えるはず。
ストロング本能、いつだって若者側に真実がある

「老害ジジイ」になってはいけません。
いつだって若者側に真実があります。
老害になった時点で終了です。
さて、これを読んで自分は老害だった、と思う人はいるだろうか。
おそらくいないだろう。
誰もが自分はまだまだ若い感覚を持っていて、老害などという範疇には自分は入らないと頑なに信じているのだ。
だからこの言葉は若者のうちに頭に入れ、歳を重ねても常に自分を戒めていかなければならない。
まわりから明らかに老害である人物にこの言葉を投げかけても、効果はないだろう。
それは時間と労力の無駄遣いだ。
本書にも書かれているが、放置するほかないのだ。
そういう人に出会ったら、苦笑と静観で対応しろ、と。
これは格闘家には似合わないセリフだが、それだけ老害というのは害なのだ。とにもかくにも老害には近づかず、どうしても近くにいる場合は無理に変えようとせず放置すればいいのだ。
ストロング本能、おわりに
最後に「おわりに」から著者が投げかけた言葉を引用して締めるとしよう。
この言葉に揺さぶられるのなら、あなたは本書を読むべきである。
「あなたが買った服は本当にあなたが欲しいものですか?」
「今度飲みに行く友達は本当に大事な人ですか?」
「不要な人や物事を抱え込みすぎて、自分の価値観を見失っていませんか?」
誰かが決めた成功や幸せを追い求めるのではなく、本能を大事にして自分だけの自由と幸せをつかんでほしいと著者は願っている。
