
今回の書評は『オープネス 職場の「空気」が結果を決める 北野唯我』だ。
本書は『分断を生むエジソン』と2冊同時刊行となっている。
以下にオープネスが低い会社の一例をあげておく。あなたの会社はどうだろうか。
☑チームで「成功体験」のみがシェアされている。
☑「なぜあの人が出世するのか」の理由、根拠がわからない。
☑直属の上司を「飛び込えて」質問しづらい。
☑今年になってから「社長の顔」を一度も見ていない。
では、本書の内容を見ていこう。
Contents
『オープネス 職場の「空気」が結果を決める 北野唯我』がオススメの理由

「オープネス」とは情報の透明性であり、戦略のクリアさであり、リーダーの自己開示性である。
「オープネス」とはひと言でいえば、開かれた会社であるかどうかということである。
本書では様々なデータを駆使し、企業のオープネスについて分析している。
従業員満足度が高い企業がやはり、業績を伸ばしていることが本書を読めばわかる。
時代は変わっている。
一昔前であれば、人余りの時代でありすぐに代わりは見つかったかもしれないが、人口減が確実なこれからの日本においては企業も従業員の取り扱いについて考え直さなければならないときに来ている。
というより、すでに職場の空気の改善に取り組んでいる企業が勝ち組なのだと思う。
これから取り組もうとしている会社、まだオープネスについて意識の低い会社、はこれから先生き残る可能性は低くなるだろう。
会社に長期育成を望んではいけない

人材の長期育成で、満足度が高い会社はこの国にはほぼ存在していない。
オープネスが大事であることは間違いないのだが、オープネスが高い会社であっても、低い数値がある。
それは人材の長期育成についてである。
短期的には育成に力を入れていても、長期での育成に力を入れている会社は、業績が高い会社でもほとんどないのが現状だ。
これは会社側からすれば当たり前のことかもしれない。
いつまで会社にいてくれるかわからない人を、長期計画をもって育成していくことなど不可能に近いだろう。
それに、長期育成プログラムを組まれたとして、それを従業員側が受け入れるわけもない。
何十年後にはこうなって欲しいと言われても、そんな先のことは会社はおろか本人でさえわからないのだから。
ゆえに、長期的な育成については自分自身で取り組まなければならないのである。
将来のために本を読むでもいい、英語を勉強するのでもいい、資格を取るのでもいい、自発的に学ばなければならない時代に来ているのだ。
何年もたってから、会社が何も教育してくれなかったと言ったところで、誰も責任などとってはくれない。
大企業は変われるのか?

本書を読んで私が思ったのは、結局変われない会社が多いだろうということ。
職場の空気を変えるというのは、勤め人であれば誰でもその困難さに気づくだろう。
長年沁みついた悪習というか馴れ合いというか、そういったものの粘っこさは尋常ではない。
しかし北野氏はデータでしっかり証明している。
どんな企業も3年で変われる!
データによると、従業員が5,000人、10,000人を超えるような企業や設立が古い企業でも、3年あれば変わることができることがわかったのだ。
3年を長いとみるか短いとみるかは、会社やそこで働く従業員によって捉え方は違うだろうが、3年で変われるのであれば取り組むべきだろう。
いや、取り組まなければ会社の未来はないのだ。
会社ぐるみで取り組めば必ず空気は変わる。
それに本気で取り組めるかどうか、それは会社、いや、社長にかかっているのだろう。
『オープネス 職場の「空気」が結果を決める 北野唯我』おわりに
最後に「おわりに」から著者の思いを引用して締めるとしよう。
人間の心は弱いからこそ、善良な心を保つには知恵がいる。
イチ従業員に何ができるかはわからない。
だが、できることはゼロではないはず。
明日からできることに少しずつ取り組んでみてはいかがだろうか。
