
オールドパワーの働きは「貨幣 カレンシー」に似ている。
ニューパワーは「潮流 カレント」のように広まる。
ニューパワーは社会に浸透しているという。
正しく用いられればすばらしい効果を発揮するが、悪用することもできるとのこと。
オールドパワーとニューパワーのおおまかな違いを見ておこう。
オールドパワー
貨幣
少数の人が握る
ダウンロード型
リーダー主導型
閉鎖的
ニューパワー
潮流
多くの人が生み出す
アップロード型
仲間主導型
開放的
ニューパワーによってNASAがすさまじい成果をあげた
2010年、NASAは予算削減の危機に直面した。(中略)
そこで彼らは「オープン・イノベーション」という試みを開始した。オープンイノベーションとは、問題解決のために一般の人たちの協力を求めること。
ここを読んだ人の中には、「一般の人に任せるなんてありえない」「大丈夫なのか」と思う人もいると思う。
この試みがどうなったかといえば、通常の研究開発サイクルで3~5年かかるところ、3~6カ月で問題が解決したとのこと。
しかも低コストで、予想を上回る結果だったとのこと。
すべての企業でオープンイノベーションが可能とは思わないが、別の何か新しい試みをすることは可能なはずだ。
あのNASAでさえそれができたのだから。
宇宙に人を送り出すなど、人の命を扱う企業は多くないはず。中小企業であればそこまで重い責任を持ってはいないだろう。
それならば、イノベーションを起こすために新しい試みをすることはできるはずだ。
邪魔するものは、古い考えや習慣、「オールドパワー」である。
実際、これで順調に進むと思われたNASAも反対派が現れることで、混乱する。
反対派とは「オールドパワー」だ。
何かを変えようとするとき、必ず現状を変えたくないグループが現れるものだ。
現状を変えたくない人の共通点は、自分の居場所を奪われることを恐れるということだ。
また、思考停止してしまっていて現状維持しか選択できなくなってしまっている場合もある。
どちらも組織の変革時には邪魔な存在だ。
あなたは「オールドパワー」か「ニューパワー」か、どちらを使う側だろうか。
これからますます時代の流れは早くなる。
その変化についていくよう努力する必要があるだろう。それができなれば過去に取り残されるだけだ。
ニューパワーを広めるには「群衆を作れ」

ゲットアップが早期に成功を収めた唯一の要因は、人びとにとって、参加が容易だったからだ。会費は無料で、誓約書も書かされもせず、ただちに抗議デモへの参加を要請されることもない。
「ゲットアップ」とはオーストラリアでの民主主義への参加を取り戻すための政治的な取り組みのことだ。
この容易に入会できるというのは、他の様々なサービスにも言えることだろう。
最近はメールアドレスがあればアカウントが作れるようになるなど、サービスへの入会のハードルは非常に低くなっている。
その一方で未だに入会に膨大な量の個人情報の記入や入力が必要なものも多い。
これらはそのうち淘汰されるだろう。
なんとなく必要だろうということだけの理由で、顧客側に入会の手間をかけてしまうと、大きな波は作れないのだ。
時代に乗り遅れれば、逆に大きな波に飲まれて跡形もなく消えてしまうだろう。
実際、そういうサービスや企業は星の数ほどあっただろう。
ニューパワーを広めるには、その質だけでなく、ムーブメントを起こす方法にも気を配る必要があるということだ。
ニューパワーを使うには「イケア効果」を使え

人が自分でつくったものには本来以上の価値を感じる傾向を、「イケア効果」と呼んでいる。
(中略)
人は自分がつくったり参加したりするものに、とりわけ大きな価値を見出すということだ。
ここではシャオミでの例と取り上げているが、人は自分がつくったものに価値を感じるのだという。
だから同じ家具でも自分で組み立てるかどうかによってその価値には差が出るのだろう。
自分が作った時間や労力をその価値にプラスするということなのだろうか。
こういったものをうまく使えば、ファンを増やすこともファンの心をつかむことも可能なはずだ。
ただ売るだけでなく、何か価値をプラスするという考えが、これからの時代は益々必要になってくるだろう。
ニューパワー、おわりに
最後に、「訳者あとがき」より一部を引用して締めるとしよう。
あなたがニューパワーを手にするには、まず本書を読むことだ。
本書は私たち一人ひとりが当事者意識をもって、変化に取り組む方法を示している。
まさに現代社会を生きるすべての人にとって示唆に富んだ指南書と言えるだろう。

NEW POWER これからの世界の「新しい力」を手に入れろ