
今回の書評は、漫画『レベルE 冨樫義博著』だ。合わせてアニメのレビューもしていこう。
冨樫義博氏と言えば、『ハンターハンター』『幽遊白書』をご存知の方も多いだろう。
そのふたつには知名度は劣るが、漫画の完成度という点でいくと今回紹介する『レベルE』は非常に高く、読んだ人の満足度は高いと言えるだろう。
レベルEのあらすじ(概要)


レベルEは宇宙人を題材とした漫画で、ドグラ星という星から来たバカ王子が地球で悪ふざけをするのが主軸となり、物語が展開していく。
悪ふざけの対象となるのは、筒井雪隆という高校生だ。高校進学と共に一人暮らしを始めるのだが、住むアパートに行くと部屋にはバカ王子が日常かと思わせるほど優雅に椅子に座って本を読んでいた。
もちろん雪隆は、最初この王子が誰なのかはわからない。記憶喪失の迷い人として家に置くことになるが、徐々に王子の正体を知っていくことになる。
この漫画は基本、王子と雪隆の掛け合いで展開していく。王子がボケで雪隆がツッコミである。
基本はどの章も王子と他の誰かとの掛け合いで構成されている。
おそらくだが、作者はダウンタウンの影響をかなり受けていると思われる。随所にテンポの良いボケとツッコミが展開されていくのだ。
ギャグ漫画というわけではないが、笑いどころもたくさんあり、ミステリー的な仕掛けも多くあり、作者の頭の良さが光る。
レベルEの魅力は壮大な仕掛け


レベルEの魅力は何と言っても壮大な仕掛けにあるだろう。
どの話にも最終的に漫画では見開き2ページで、謎の開示や大きなオチが待っている。
そのオチに行くまでにしっかりを伏線を張り、巧みにストーリーを展開していくのだ。
各章が何話ごとかで構成されているが、どの章も最後の最後で大どんでん返しが待っている。
『ハンターハンター』のグリードアイランド編を読んだ人にはわかると思うが、作者はゲーム好きで、且つ、相当頭が良い。
事細かにゲームの設定を決めたり、アイテムを作ったりと、おそらく冨樫義博氏ならゲームの製作もできるのだろうと思わせる程だ。
まだの人は是非『ハンターハンター』も読んでみてほしい。


レベルEの魅力は何と言ってもテンポの良さ


ボケとツッコミの話をしたが、とにかくその掛け合いが絶妙でとてもテンポがいいのだ。
漫画のテンポもさることながら、アニメ版でもうまくそのテンポを表現し、レベルEの魅力を引き出している。
よく漫画がアニメになるとそのテンポが逆に失われて面白さが半減してしまう、ということがある。いちばんわかりやすい例は『スラムダンク』だろう。
気になる人は、アマゾンプライムビデオで、アニメ『スラムダンク』が配信されているのでチェックしてほしい。
『レベルE』はそのテンポの良さにより、笑えて感動できる、漫画及びアニメに仕上がったと言えるだろう。
漫画アニメどちらにも言えることだが、やはりただ長く続けるよりは、短めで内容を凝縮したものが最終的に評価が高まるのではないかと思う。