
本書は、堀江氏と7人の鮨職人との対談という形式で書かれている。
「堀江貴文vs鮨職人」と銘打っているところから、喧々諤々とした議論が展開されるかとおもいきや、登場する鮨職人は現代の変化に柔軟に対応して成功している人たちのため、どちらかと言えば堀江氏に近い考え方の職人たちが登場している。
それは当たり前のことかもしれない。「何年も修行するのはバカ」とはなんだ、と殴り込んでくるような職人とは対談など成立しないだろうから。
内容としては、これからの時代の変化にいかに適応していくべきか、という観点で読むと良いと思う。
・今、鮨職人をしている人
・これから自分のお店を開こうと思っている人
「はじめに」から堀江氏の言葉を引用しておこう。
この本では、ちょうど旧世代の呪縛から脱却し、自分のやり方で店を繁盛させている七人の鮨職人の今までと、今と、これからを僕自身が聞いてきた。
何年も修行するのはバカ発言で炎上させたホリエモン
鮨職人になるために 「何年も修業するのはバカ 」という僕の発言が 〝炎上 〟したのは 、もう三年ほど前のことだ 。
もう三年も前なのか、という印象。
このときは界隈がかなりザワつき炎上したように記憶している。
私が思うに、過去はそれが当たり前で必要だったのだと思う。
しかし、現代ではITの発達もあり、職人の技がコピーしやすくなっている。
それを伝統だからと言って、過去の修行のような働き方を強要するのは間違っている。
気持ちはわかるが、オレが苦労したんだからお前も苦労しろという精神は、発展に邪魔な思考である。
気持ちはわかるが、それでは時代に取り残されてしまうのだ。
本書の対談に参加した鮨職人は固定観念を取り払い、あれこれ試して模索している人たちばかりだ。
これからは職人と呼ばれる人たちの技が、どんどん流出するだろう。
それはよろこばしいことなのだ。
そうやって広まっていかなければ業界の衰退につながる。
気づいたらその業界は年寄りしかいない、となれば、その業界が消えてなくなるもの遅くはない。
過去のことはとりあえずいったん置いておき、これからの時代について真剣に考えていく必要があるだろう。
鮨職人たちの言葉

「自分の仕事に飽きたら終わり 。お客さんも必ず飽きる 」
「 I n s t a g r a mはすごい 。ニュ ーヨ ークから戸畑に映画撮りにくるんですよ ? 」
「教科書通りの仕込みは一万円以下の鮨屋にしか通用しないですね 。二万円以上のお店に入ったら 、それまでに何店修業していてもその方法は通用しません」
なかにはSNSを駆使して顧客を呼んでいる鮨職人もいる。
本書を読んで、みんな色々と考えている、昔ながらの鮨職人というのはもうあまりいないのかもしれない、などと思った。
東京は鮨バブルと言われているそうだが、堀江氏はまだまだこれからだと言う。
過去に縛られず新しいことを取り入れていく職人が増えたら、ますます鮨は盛り上がるだろう。
外国人観光客も順調に増えている。
ゆくゆく年間の観光客数が1億人行くのも夢ではなくなった。
そのときに鮨はどのような位置づけにいるだろうか。
堀江貴文vs鮨職人、さいごに
最後に、堀江氏と鮨新井の新井氏の会話を引用して締めるとしよう。
「人間力」について語られた箇所だ。
堀江 新井さんは 、人間力はどう磨けばいいと思いますか ?
新井 たくさんの人と触れ合って 、嫌な気持ちも理解するように努力する 。つまらない場所でも楽しく生きる 。
堀江 すごくわかります 。なにしろ僕は刑務所でも楽しく生きることを考えていましたから 。
新井 確かにそうですよね (笑 ) 。
