
今回の書評は、『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」山口周』だ。
本書は美意識を鍛えることの重要性について説いた内容となっている。
仕事で、会社経営する立場だがうまくいかない、もっと突き抜けた成果が欲しい、そういった立場や考えをもった人にオススメだ。
世界のエリートが美意識を鍛える理由とは

彼らは極めて功利的な目的のために「美意識」を鍛えている。
彼らとは世界のエリートのことである。
エリートが何のために美意識を鍛えているかというと、功利的な目的のために鍛えているということだ。
功利的とは、利益や結果を優先するということである。
要はビジネスで成功するためには、美意識が欠かせないというのがここでの論調なのだ。
最初から功利的な目的をもって美意識を鍛えた人もいるだろうが、結果的に美意識があったことによって成功したという人もいるだろう。
どちらにしても美意識がなければ成功には近づきにくいということだ。
あなたは美意識を鍛えるために何かしているだろうか。
いちばん理想なのは、好きなことをすることが美意識を鍛えることにつながっていることであろう。
日々なにげなくしていることで美意識を鍛えることができるならそれにこしたことはない。
しかし多くの人は意識的に鍛えようとしないと美意識を向上されることはできないだろう。
美意識に関しての、スティーブ・ジョブズの言葉

インドの田舎にいる人々は僕らのように知力で生きているのではなく直感で生きている。そして彼らの直感は、ダントツで世界一というほどに発達している。直感はとってもパワフルなんだ。僕は、知力よりもパワフルだと思うりこの認識は、僕の仕事に大きな影響を与えてきた。
直感はときに大きな効果を発揮すると思っている。
人間はいつもいつも論理的に計算高く生きているわけではない。
仕事では、綿密に計画し緻密に行動すべきというのが正しいとされるが、そのように行動するのは人間には正直難しい。
それよりも普段から美意識を鍛えておくことが直感を鍛えることにつながり、とっさの判断が必要なときに活きてくるのだと思う。
スティーブ・ジョブズ氏は、綿密に計画を立ててはいただろうが、最終的には直感に頼っていたのだろう。
そうでなければiPhoneのような直感的で革新的なものは生まれなかったはずだ。
彼のような革新者が直感や美意識は重要だと言っていることからして、それを無視することはできないだろう。
日本人の美意識に対する考え方

私たち日本人の多くは、ビジネスにおける知的生産や意思決定において、「論理的」であり「理性的」であることを、「直感的」であり「感性的」であることよりも高く評価する傾向があります。
あなたはどちらだろうか。
おそらく「論理的」「理性的」である人がほとんどだろう。
なぜなら「直感的」「感性的」であると周囲に公言していたとしたら、それは一歩まちがえばバカ呼ばわりされる可能性があるからだ。
論理的に考えることが賢く、直感的に考えることは少し劣る、いや、かなり劣るという雰囲気が日本にはある。
だが日本の様式美などを見ると、直感や美意識はかなり活かされているように思う。
もしかすると昔は美意識はあったが、今は失われていると言えるのかもしれない。
そうでなければ、古くから存在する寺や神社、城や仏像などはもっと違った形になっていただろう。
現代の日本人にもそのような美意識はまだ残っているはずだ。
これから何かを成し遂げたいと思うならば、美意識を鍛えておくことがあなたの未来を切り開くための鍵になることは間違いない。