【書評】『父が娘に語る美しく深く壮大でとんでもなくわかりやすい経済の話 ヤニス・バルファキス』を読んだ感想。大人だけでなく高校生にオススメの本。

『父が娘に語る美しく深く壮大でとんでもなくわかりやすい経済の話 ヤニス・バルファキス』を書評するPANDA
 
パンダ
経済とは何か、についてわかりやすく書かれている本ですね。

今回の書評は、『父が娘に語る美しく深く壮大でとんでもなくわかりやすい経済の話 ヤニス・バルファキス』だ。

本書は経済について父から娘に語るように書かれた本である。

大人だけでなく高校生でもわかりやすい内容になっていると思う。

以下は娘から父への質問である。

「パパ、どうして世の中にはこんなに格差があるの? 人間ってばかなの?」

なぜアボリジニがイギリスを侵略しなかったのか

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2019.06.01
パンダ
人間がどのように行動するかは環境によって左右されるのでしょうか。

かつて、イギリスはオーストラリアを侵略し、先住民であるアボリジニに非道な行いをしたことは周知の事実だ。

今から少し前、ヨーロッパ諸国はあちこちに植民地を有していた。

では、なぜそうなったか。

その答えの一端が本書には書かれている。

すべては「余剰」から始まったと言った。農作物の余剰によって、文字が生まれ、債務と通貨と国家が生まれた。それらによる経済からテクノロジーと軍隊が生まれた。

オーストラリアの広大な土地では、余剰を抱え込む必要がなかったが、イギリスのような気候に恵まれない土地では余剰を作り、それを抱え込む必要があったとのこと。

悠々自適に暮らせる土地ならば、他の土地のことを気にする必要がなかったとも言えるだろう。

これは逆にオーストラリアが気候に恵まれない土地で、イギリスが恵まれた土地だったならば、歴史は違ったものになっていただろう。

結局、人間がどうこうではなく、住む場所や環境によって人間はどうにでもなる、というのが本書を読んで知り得た事実だ。

ここで本書では、「じゃあ、アフリカはどうなのか?」という疑問を投げかけている。

あれだけ広大な大陸である。ひとつくらい強国が出てきてもおかしくないのでは、という問いだ。

これは土地の形と気候が関係している。

アフリカは縦長のため、ある地域で農耕経済が発展したとしても、南北で気候が大きく違うため、その経済発展を他の地域で活かすことができないのだ。

北部で育つ作物も南部では育たず、ましてやサハラ砂漠でも同じだ。

しかし、ユーラシア大陸を見てみると、横長である。

どこかで農耕経済が発展したら、それが西から東へ伝えることができたのだ。

どこかで育つ小麦は、もちろん場所の条件はあるが、ユーラシア大陸なら地続きで栽培が可能だったのだ。

故に、住む場所や環境によって人間は作られるということだ。

もちろんイギリスがアボリジニにしたことは許されることではない。

だが、もし自分がイギリスに生まれていたとして、同じようなことをせずにいられたかどうかは疑問だ。

今、日本に住んでいて、日々何を思い、生活しているだろうか。

この環境だからこそ、今の自分が成り立っていると思うと何か見えない力に動かされている気になる。

ただひとつ言っておきたいのは、すべてを環境のせいにするつもりはない。

環境に左右されることはあっても、自分で選択するという力を人間は持っているはずだ。

そう信じたい。

経済学者はすべてを「値段」で測る

パンダ
世の中には値段がつけられない物があるのです。

経験価値と交換価値は、対局にある。それなのに、いまどきはどんなものも「商品」だと思われているし、すべてのものに値段がつくと思われている。世の中のすべてのものが交換価値で測れると思われているのだ。

ここでは献血の例を取り上げている。

献血は国によって無償と有償がある。有償は血を提供する側がお金を受けとるということだ。

その場合どうなるかと言うと、無償より有償のほうが献血が集まらなくなるらしい。

人々は善意で献血するのに、それが有償となると善意の献血をする人は減るということなのだ。

一見不思議だが、これが本来人間というものなのだろう。

今の世の中は、何かあれば賠償金という話が出るため、すべてのことに「交換価値」が与えられている。命でさえも。

この流れは誰にも止められないだろう。

なにしろ経済の中心にはお金があるのだから。

それでもお金に変えられないものを大事にしたいと思う。

誰かを助けたいという心や世の中に貢献したいという気持ちは誰でも持っているはず。

なんでもかんでもお金に換算しようとする人や雰囲気に押されず、自分の気持ちを大事にしていこう。

それが世の中をほんのちょっと良くする術なのだから。

父が娘に語る美しく深く壮大でとんでもなくわかりやすい経済の話、おわりに

最後に、訳者が紹介している著者の言葉を引用して締めるとしよう。

本書を読んだなら、次はあなたが経済について誰かに語る番だ。

「君には、いまの怒りをそのまま持ち続けてほしい。でも賢く、戦略的に怒り続けてほしい。そして、機が熟したらそのときに、必要な行動をとってほしい。この世界を本当に公正で理にかなった、あるべき姿にするために」

父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

父が娘に語る 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。

ヤニス・バルファキス
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