
今回の書評は『大きな嘘の木の下で ~僕がOWNDAYSを経営しながら考えていた10のウソ。~ 田中修治』だ。
前作「破天荒フェニックス」より待望の第2作目である。
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田中氏の書いたものを読むと、いつも思うのが、この人は優しい人なのだということだ。
優しいと言っても厳しくないわけではない。おそらく部下などには厳しく指示することもあると思う。
うわべだけでなく本質を見ているから、ときに他人から見れば冷たく見えることもあるのではないか。
未来を見て社員などの幸せを考えている人なのだと思う。あまりに先を見ていると理解されないこともあるかもしれないが。
田中社長が掲げる理念は以下のとおりだ。
「OWNDAYSに関わる人たちを豊かにする」というのが今のOWNDAYSの企業理念だ。
Contents
『大きな嘘の木の下で~僕がOWNDAYSを経営しながら考えていた10のウソ。~ 田中修治』をオススメする理由

本書は「10のウソ」を掲げ、幸せ、お金、仕事、成功、人生、経営、男女、家族、政治、教育、それぞれのウソについて田中氏が本質を語る、という内容である。
この本が何も苦労をしていない人が書いたとしたら、心には響かないだろう。
瀕死のオンデーズを買収し、そこからジェットコースターのような人生を歩んだ田中氏が書くからこそ意味のあるものだと思う。
世の中には逆境で挫ける人と、逆境で燃える人、がいると思うが、9割の人は挫けてしまう人だが、田中氏は逆に燃えてしまう人なのだろう。
そうでなければ田中氏のような人生のルートを辿るようなことは普通ないはずだ。道が選べるとすれば、この道は誰も選ばないはずだ。
ここでひとつ成功論に関する一文を引用しよう。
耳の痛いことを言おう。みんな、全てのことに対して最初から「できない」「無理だ」と決め付けるのは、本当はただ傷つきたくないだけだ。
誰もが傷つきたくないはずだ。
それでもあえて傷つくほうに舵を切ることのできる人が成功するのだろう。
解釈としては、現状維持のままでいることが普通の人にとっては居心地のよいものだったりするのだが、逆境で燃える人にとっては現状維持でいることが傷つくことなのだと思う。
傷つくのは自分のプライドか、社会へ貢献したいという想いか、はたまたただ立ち止まっていられない性質なのか、何かはわからないが現状維持を拒絶しなければ自分のなかのアイデンティティが傷ついてしまうのだろう。
それを極端に恐れているのるのだと思う。
言い方を変えれば、今傷つくか、あとで傷つくか、その違いだ。
人はどこかで何かに傷つくようになっている。
傷つかないようにずっと家にこもっていたら、いずれそのしっぺ返しを喰らうことになるはずだ。
この世界は複利で成り立つ。
先にリスクをとらなければ、溜まりに溜まったリスクがどこかで発現することは間違いない。
成功のためには過去や今ではなく、未来を見る必要があると言えるだろう。
人生において選択なんて大した意味はない

人生における選択の先には、どちらにも天国と地獄が待っているのだ。結局は、自分が選択した道が間違いじゃなかったと思えるかどうかは、そのあと、どう行動したかが大事だし、その選択が正解になるのも間違いになるのも、自分の行動の結果でしかないのだ。
選択に迷ってばかりの人には堪える言葉だろう。
要は自分の行動に責任を取る気がないなら、どちらの道に行っても同じだということなのだ。
中途半端に動けばあとで、「ああやっぱりあっちにしとけばよかった」というに決まっている。
選択がまったく意味がないとは思わないが、方向性を決めたなら後ろを振り返らず進むべきなのだ。
後ろばかり気にしていては道端に落ちている石ころにも気付けない。
前を向いてひたすら猪突猛進するほうが成功しやすい。
だが、それができないから凡人は悩む。
選択には迷うし、決めてからも迷う。それが普通とも言える。
田中氏のように生きられる人は一握りかもしれない。
だから何事も全力でやってみる、という気概を持つことだけでも、結果は変わってくるかもしれない。
あの人のようにはなれないかもしれないが、自分を少しずつ変えることはできるはずだ。
もし田中氏がオンデーズ買収を後悔しながら再生をしようとしていたら、きっとうまくいかなっただろう。
人生論のウソ、どん底の時に自分を支えてくれるのは「嫌いな奴」

親友や彼女の言葉に救われ、全てを諦めて、その優しさに身を委ねてしまいそうになった時、夜ベッドに入って目を閉じると、ふつふつと瞼の裏に浮かんできたのは「自分を馬鹿にしてきた沢山の奴らが喜ぶ顔」だった。
人はときに怒りを原動力に動く。
むしろプラスの感情より、マイナスの感情を基に動く事のほうが多いかもしれない。
それは人間の持つ危機意識の本能によるものだと思う。
例えば失恋でもそうだ。
振られたことをいつまでも嘆いているより、見返してやろうと思って自分を磨くことでより成長するだろう。
あとから考えればあのとき振られてよかった、と思った経験がある人は少なくないと思う。
仕事でも、いつも助けてくれて優しい人より、自分と合わずいつも障害になる人のほうが、行動するきっかけになったりするだろう。
怒りの感情はうまく使えば、人生を好転させることにつながる。
怒りをただぶちまけているだけの人は成功しないし、他人からよく思われないだろう。
普段は静かにしているがうちに秘めた怒りをうまく昇華できる人にやるべきだろう。
逆に言うと静かな人は敵に回さないほうがいい。やがて溜め込んだ怒りを器用に使い、いつのまにか抜かれてしまっているから。
おそらく田中氏を敵に回した人たちは今苦渋をなめているのではないだろうか。
おわりに
最後に一文を引用して締めるとしよう。
「うるせー!! 俺の人生は俺のものだ!」
