
今回の書評は『自己肯定力 そんなことで私の価値は変わらない 鴨頭嘉人』だ。
鴨頭氏と言えば、元マクドナルドで数々の功績を残したのち独立し、今や人材育成やマネジメントについて講演を行なったりユーチューバーになったりと多岐に渡り活躍している人だ。
本書は自己肯定力についての本だが、この中で「師匠」と呼ぶ人が出てくる。
その師匠とは鴨頭氏の息子のことである。
大人よりも子どものほうが本質を無意識に理解しているということはよくあることで、少し視点を変えれば大人よりも子どもから学ぶことのほうが多いかもしれない。
『自己肯定力 そんなことで私の価値は変わらない 鴨頭嘉人』をおすすめする理由

そして僕は師匠に教わりました。
自己肯定力が高いということは、
「本質を受け取る力が高い」ということを。
本書は子どもを持つ親には特に響く内容になっている。
わかるわかる、というところもあれば、ウチの子もいつかそんなことを言うのだろうか、などと思いを馳せるところもあるだろう。
また、自分自身が自己肯定力が低いと思っている人は、本書を読んで本質とは何かについて考えると良いだろう。
大人になると視野が狭くなり、物事を素直に受け入れられなくなり、すべてのことをフィルターにかけて見るようになる。
それでは本質などわかりようもない。
一度子どもの視点から見る努力をしてみると良いだろう。
しかしひとたび大人になってしまえば、まっさらな目で世間を見ることなどできないものだ。
だから、本書にあるように子どもの発言や行動から何かヒントを得て、大人である自分を変えていく必要があるのだろう。
本書は、子どもとのやりとりをおもしろおかしく紹介しており、とても読みやすい。
仕事や人生において、自分を信じられず、卑下してしまうことが多い大人は是非読んでほしい。
きっと「師匠」から良い言葉をもらえると思う。
学校体験での話

ここでは「師匠」が小学二年生になったときに学校体験をしたときの話が紹介されている。
学校体験とは、新しく小学一年生になった子たちを小学二年生が手をつないで学校内を案内する行事である。
「師匠」は一年生のときにそれを経験しているが、二年生になって自分が手を引く立場になって気づいたことがあったそう。
その感想文を紹介しよう。
学校体けんをしました。
一年生と手をつなぎました。
思いどおりにいかなくて、むずかしかったです。ぼくも一年生のころは、こんなだったのかなぁと思い出しました。
そのときてをつないでくれた今の三年生に今すぐあやまりたいです。
ぼくももっともっとせいちょうして、
一年生にいろんなことをおしえてあげられる人になります。
だいたいの子どもは、「楽しかったです」とか「〇〇しました」とかの感想だけで終わらせてしまうところを、師匠は感想だけでなく、反省と改善について書いているのだ。
これは職場にもあてはめることができる。
仕事ができない人は、何か仕事をしてもただやるだけだが、仕事ができる人は反省点や改善点を探し次の仕事に活かすということをするもの。
要はPDCAを適切にまわす、ということだ。
それが小学二年生の時点でできる子は少ないだろう。
このPDCAをまわすことを常に意識できている人は、強い。
毎日毎時間、計画行動確認調整を絶えず行っていれば成長するに決まっている。
これをめんどくさがってしまう人は、やはり伸びない人なのだ。
師匠から学び、成長するためのヒントを身につけよう。
暑い夏を乗り越える方法

鴨頭氏が、ある暑い夏の日、夏を乗り越える方法を師匠に聞いてみた。
するとこう返って来たそうだ。
そりゃ〜夏を感じて過ごしたほうがいいでしょ。
だって今しか味わえないんだから。
うわてである。
乗り越える必要はないと。
ただ感じればいいのだ、と。
大人になれば、あつい、さむい、きつい、つらいと毎日のように愚痴をこぼしている人も多くいるだろう。
だがそんな愚痴は無駄なのだと教えてくれている。
何かあったとしてもただ感じればいいのだ。
だって、愚痴を言ったところで現状はかわらないのだから。
ならばただ過ぎゆく日々を感じて、過ぎ去るのを待つしかない。
