
この本も「ブロガーの人(@blogger_no_hito)」の企画に当選した人の選んだ本だ。
当選者は「めぐみん氏(@megumincoach)」で、本は田辺聖子著の「言い寄る」である。
この企画についてのツイートを紹介しておこう。
【一味違うプレゼント企画やで】
これはフォロワー参加型企画やで。
君が欲しい本を買ってあげるやで。
このツイートをRTしてコメント欄に以下を書くやで。
①本のタイトル
②なぜ読みたいか?
③読んだ後どうするか?この3つを書くやで。
選考基準はピンとくるかやで。
知らんけど。 pic.twitter.com/ZAVe2sRiar
— ブロガーの人 (@blogger_no_hito) 2018年9月22日
ほな、ここで当選者を発表するやで。
1人目:@chimico_a
理由:読みたい本を記事にして提案した
2人目:@megumincoach
理由:名著から学びブログに活かそうとする視点
3人目:@t_mami134
理由:提案が一番綺麗やった
4人目:@asaoka_daiki
理由:ワイが持ってた本やった
— ブロガーの人 (@blogger_no_hito) 2018年9月24日
では、書評をはじめる。
先に、この本を読んだ私の全体的な感想を述べよう。
あらすじ
主人公は31歳独身の女性、乃里子。友達の美々が彼氏に振られ、その別れ話に同席することになった。美々の彼氏にも「剛」という同席者がいて……。
あらすじとしてはこのような感じだ。何か起こりそうな雰囲気は感じてもらえるだろう。
タイトルも人を惹きつける魅力がある。多くの本は「〇〇の〇〇」といった具合に単語で言い切るものが多い。しかしこの本は見ての通り、たったひと言、動詞で言い切っている。
これだけで誰が誰に言い寄るのか、という想像をすることになる。恋愛小説としては、これ以上ないタイトルである。
惹かれた言葉その1「渇望」

頸とか、肩とか、胸板とか、もっとほかのところも、じっくり見るわけ、そして、そういう私の切ない欲情に、五郎がちっとも気付いていないという、それも私を、よけい渇えさせるのである。そういうとき、人は無口になる。真の渇望は、人から言葉を奪ってしまう。
人から言葉を奪ってしまうような、真の渇望を知ったことがあなたはあるだろうか。大きなショックを受けたときに言葉が出ないことはあるが、ここにあるのは、そのようなショックにも勝るとも劣らないほどの渇きなのだ。
「真の渇望は人から言葉を奪う」、特別難しい表現ではないが、なかなか出てこない深淵なる言葉だ。
惹かれた言葉その2「言い寄りかた」

(こんな、肉体での言い寄りかたもあるんやわ)
と私は、目がさめたように思った。これこそ、大人の言い寄りかただと思った。
こんな表現は見たことないと、この箇所を読んだときに思ったことだ。ここだけ切り取るとその前後がやたらと気になるかもしれない。
こういった言葉は恋をした女性だからこそ、出てくる言葉なのかもしれない。恋をしていなければこのような言葉は浮かびもしないだろう。
惹かれた言葉その3「空洞」

どんな男を持ってきても、何かスキマがあって、風が通ること。その空洞の型はぴったり、〇〇でないとうめられない型になっていた。
「〇〇」で名前は伏せた。
恋愛を経験したことがある人ならわかるだろう。世の中でたったひとり、その人でしか埋められない自分の心の空洞があるということを。パズルの最後のピースのように、そこに入る型は決まっているのだ。どんなに似た人でも合わない。ぴったり合っていなければ、心は受け入れることはできないのだ。
それはある種の思い込みなのかもしれない。本当はある程度の余裕があって、その型に近い人であれば許容することができるかもしれない。
しかし、理性ではそう思っていても感情ではそれを許容できないのだ。ただひとり、あなたでなければダメなのだ。
最後のピースはあなたなのだ。
