
今回の書評は「いい親よりも大切なこと」である。子を持つ親はわかると思うが、どうにかして「いい親」になろうと努力するものだ。
しかし、子育ては一筋縄ではいかず、自分の能力のなさに打ちひしがれる親もいることだろう。
そんな親を救うのがこの本だ。まずは「はじめに」から著者の言葉を引用しよう。
大丈夫。肩の力を抜いていい。
本書を読んだ後に、ママの肩の力がスッと抜けて、「子どもの隣で過ごす時間がギフトなんだ」と思える。そんな気持ちになってもらえたら、とても幸せです。
子どもにとっていい親とは何なのか?

何をすればいい親なのか?
誰に認められればいい親なのか?
「いい親」という100点満点の答えなんて、実は世界中どこを探しても見つかりません。いい親像とは、結局のところ思い込みに過ぎないのです。
この問いに対する答えは親によって違うそうだ。それはそうである。いい親は何かという問いに完璧な答えなどあるわけがない。
本書にも書かれているがまずは「いい親になろう」という気持ちを手放してみると良い。そうすることで本当に大切なものが見えてくるかもしれない。
考えてみてほしい、子どもを持つということを。
唯一無二のあなたの子どもが産まれるということは、とてつもなく低い確率の中、この世に生を受けているということを。
あなたが今の配偶者に出会う前に死んでいたら? 配偶者があなたに出会う前に死んでいたら? もちろんその子も存在しないことになる。
住む場所が違っていたら? 進学する学校が違っていたら? 働く会社が違っていたら?
あのとき違う道を通っていたら事故にあっていたかもしれない。あのときその場所に行かなければ配偶者に出会わなかったかもしれない。あなたや配偶者ではなく、そもそもあなたの両親が出会っていなかったら。
どんな些細なできごともひとつでも違っていたら、今そこにいる子どもは産まれていなかったかもしれないのだ。そう考えると、子どもを持つという尊さを改めて感じることができるだろう。
あなたがここまで来た道はひとつも間違っていなかった。
あなたがここまで来た道はその子に会うためだったのだ。
いい親とは何か。
まずは子どものそばにいること、これしかない。
いい親になろうとして初めから完璧を求めない

どれもこれも完璧に、毎日同じリズムを守ろうとすることで親も子どもも疲れてしまう場合は、優先順位をつけてしまえばいいのです。たとえば、眠る時間を一番優先させたいのか、毎日お風呂にだけは入れたいのか、1日3食のご飯を食べさせたいのか。
やれなかったことは、決して「手抜き」なんかじゃありません。ただ、今日できることをやった、ベストな結果です。
あれもこれも完璧にできるわけはない。なぜなら子育ては初めての人がほとんどだから。どこかで練習してから子どもを授かって育てるなら最初からうまくいく可能性はあるが、自分の子どもを育てる練習はできない。子育てはぶっつけ本番。だから、多くの人が子育てで悩むのだ。
何かを優先させるとなれば、私は睡眠を優先させるべきと答える。子どもにとって睡眠は絶対に欠かせないものだ。食事はもちろん栄養のあるものがいいが、それは毎日でなくてもいい。お風呂も毎日入ったほうがいいが、毎日入らなくても問題ない。
しかし睡眠は違う。毎日毎日の睡眠が子どもの身体を作り、子どもの脳細胞をつくるのだ。睡眠時間を削ってしまうことは子どもの脳細胞を減らすということ。そんなことをしたら子どもの未来を奪うことになってしまう。
子どもは愛情を貯金できない

どんな方法でもいいのですが、これだけは子どものために歩み寄ってほしいことがあります。それは“1日1回は愛情を伝える時間をつくる”ということ。なぜなら、子どもは愛情を貯金しておけないからです。
愛情を伝えることをできていない親も多いだろう。だがここでは1日1回愛情を伝える時間をつくろう、という提案だ。
子どもは常に愛に飢えている。いくら与えてもまだ欲する、乾いた砂漠のよう。
ただここで思うことがある。愛に飢えているのは大人も一緒ではないだろうか。大人も同じように愛を欲している。
だから身近な人へ愛情を伝える時間は、大人であろうと子どもであろうと、1日1回は持ったほうが良い。そのほうが健全である。
おわりに
最後に、「おわりに」から著者の思いを引用して締めるとしよう。
大切なのは、いい親になることではありません。子どもの隣にいる大人が、どんな風に生きているか、なのです。

いい親よりも大切なこと ~子どものために“しなくていいこと"こんなにあった! ~