
この本は死んだ祖父から孫にあてた手紙を中心に、億万長者になるためのエッセンスを学ぶための本だ。
物語形式の自己啓発本といったエッセンスの本である。
億万長者になりたい人は必読の書である。
祖父の死と手紙
まずはプロローグの大富豪の言葉を見てみよう。
私は、たくさんのお金を稼いで、「大富豪」と呼ばれるまでになったが、すべての資産を「奨学財団」に寄付してしまった。キミの父親にも、孫のキミたちにも、「財産」と呼べるようなものを、何も残さなかった。そのことを、どうか許してほしい。
その代わりに残すものは、「人生でいちばん大切なものを学ぶ機会」だ。
キミあてに「9つの手紙」を書いたので、受け取ってほしい。
孤児の私が「億万長者」になるまでの80年に得た「人生のエッセンス」だ。
「9つの手紙」にはそれぞれタイトルがつけられている。
【1:偶然】
【2:決断】
【3:直感】
【4:行動】
【5:お金】
【6:仕事】
【7:失敗】
【8:人間関係】
【9:運命】
では気になるポイントをみていこう。
偶然に起きることはないし、偶然に出会う人もいない

キミには、これからの人生で、「すべてのことには意味があって、自分を幸せにするために起こっている」という可能性を見てもらいたい。
もし「いいことも、悪いと思うことも、いずれ自分の幸せにつながっていく」と、わかっていたとしたら、何を心配する必要があるだろう?
こればかりは、自分の体験を通して腑に落ちないと、わからないかもしれないね。いろんなことを体験していくうちに、きっと、わかるときが来ると思う。
ここでは「シンクロニシティー」という言葉を使い、「一見偶然に見える、意味のある必然」というものがあると説いている。それをいかにつかむかが大事だと。
出会いひとつとっても、誰かと誰かが出会うその確率は限りなくゼロに近いほど、奇跡的なことだ。そこにはなにかしらの意図があってもおかしくないかもしれない。
ただ、こういった思考で大事なのは、ポジティブシンキングだと思う。
ネガティブでは何が起こってもマイナスのことしか考えない。それでは偶然起きたことに対する反応もかわってくるはずだ。
意味のある必然を手にするには、自分からつかみに行くことが必要である。
最高の人生を生きるという決断

「決めると、物事は動き出す」
「決めるためのスタート地点」では、才能も、お金も、時間も、まったく必要ない。
信じられないかもしれないけれど、「決断した瞬間」に、「その未来は、同時に誕生する」
「決断した瞬間に、現在と未来を接続する回路が生まれる」と言ってもいい。その未来が、時間と共に、向こうからキミのいる方に近づいてくるんだ。
「ものごとは二度つくられる」、これは別の本で読んだ言葉だが、内包する意味は同じだろう。
まずは決断することで未来を創造するところからすべてははじまるのだ。
決断するから未来が開けてくるということだ。何も決断しないのであれば、何も生まれることはない。
世の中には決断をせず、決断を先送りし、なんとなく行動しているという人が多いように思う。それでは何も得ることはできない。
自分の心と直感に従う勇気

直感は、いつも「キミの幸せのため」に働いている。
だから、大切なのは、心の声に素直にしたがうことだよ。
理性ではよくわからないときでも、「心と体で得た直感に、人生をゆだねる勇気」を持つこと。
「なぜかはわからないけど、直感にしたがってみよう」という感覚が大切なんだ。
直感に従えというのはよくいわれることだが、それはなかなかできないものだ。なぜならいまいち自分自身を信用しきれていないからだろう。
だが、自分が自分を信用しないのに、一体だれが信用してくれるのだろうか。まずは自分が自分を信用し、偽りでもいいから自信を持つことが必要なのではないかと思う。
それには直感を信じて行動してみることが必要であろう。そうやって行動してみることで勇気が生まれ、また次も直感に従うことができるようになるはずだ。
スティーブ・ジョブズもスピーチでこういっていた。
何より大事なのは、自分の心と直感に従う勇気を持つことです。
おわりに
大富豪である祖父からの手紙はまだまだ続く。
自己啓発本と聞くと「〇〇しなさい」というような言葉で、あたかも指示されているような感覚になるが、これは祖父からの手紙ということもありやさしく諭すように語りかけてきてくれる。
自分を変えたいという人に是非読んでほしい良書だ。
最後に、この本の中で私がいちばん気になった言葉を引用しておわりにしようと思う。
「人生のすべてを一瞬で変えることはできない。だが、進む方向は、一瞬で変えることができる」
