
この本のタイトルを見た人は、まずこう思うだろう。
この「黄金の羽根」について冒頭にこう書かれている。
私たちをとりまく世界は、大きく歪んでいます。その歪みから、必然的に、得をする人と損をする人が生まれます。本書では、制度の歪みから生じる恩恵を「黄金の天使の羽根」と呼んでいます。
続けてこう書かれている。
こうした黄金の羽根は、国家だけでなく、株式市場や不動産市場など、経済活動をともなうすべての場所に落ちています。歪みのない完璧な制度など、どこにもないからです。
しかし、誰もがこの天使の黄金の羽根を拾うことができるわけではありません。羽根の枚数は限られており、うかうかしているとあっという間になくなってしまいます。
他人よりも早く黄金の羽根を見つけるためには、「知識」が必要です。
この本は2002年に出版されたが、データの古さはあるものの、内容に関しては現代にもマッチするものになっている。
さあ、一緒に黄金の羽根を拾いにいこう。
Contents
世界にひとつしかない金持ちの方程式


人類の歴史に貨幣が登場して以来、金持ちになる方法はたった3つしかありません。さらには、その方法はわずか1行の数式で表すことができます。もったいぶらずにお教えしましょう。これが、金持ちの方程式です。
資産形成 = (収入-支出)+(資産×運用利回り)
この方程式から、金持ちになるには、次の3つの方法しかないことがわかる。
1、収入を増やす。
2、支出を減らす。
3、運用利回りを上げる。
誰もが知っていることだが、誰もが実行できるわけではないもの、だ。
ダイエットで、食べる量を減らせば痩せる、ということは誰もがわかっていても実行できないのと似ている。
ここでベストセラー「金持ち父さん貧乏父さん」が紹介されていますが、この本にも同じようなことが書かれていた。
ただこういった本を読めば誰でも金持ちになれるわけではない。
それができるから誰もが金持ちになっているはず。
著者もこう書いている。
確実に金持ちになる方法など、この世にありません。
まずはこのような本を読み、世の中の仕組みを知った上で、自分にあった資産運用は何かを試行錯誤していくことが大事です。
資産運用についてのよくある誤解
投資をしないのが最高の投資である

1989年から2002年までの地価の動向が図で紹介されているが、下がり続けているため、結果的にこの時期は投資をしない方がよかったということになる。
バブル当時、10億円で売られていた商業ビルが、現在では3億円でも買い手がつきません。商業地の地価は1980年とほぼ同じで、バブル景気を経て、タイムカプセルに乗ったように時が20年前まで戻ってしまったことになります。
株価も同じように下落しているので、この時代に成功したのは何も投資をせず現金を持っていた人とのこと。
これはあくまでこの時代のことで、「買い」だけを考えた場合。
株や仮想通貨もそうですが「売り」もできるので、一概にはいえない。
ここ数年でいえば「アベノミクス」もある。
ただ著者としては、適正価格は誰にもわからないし、チャートも正確ではない、短期投資は最高のギャンブルであると考え、投資で人生設定をすることは避けたほうがいいと語っている。
生命保険は損をすることに意味がある
損をすることに意味のある宝くじ


まず生命保険についてこう書かれている。
保険というのは、宝くじの一種と考えることができます。
宝くじ? と思った人もいるかもしれない。
続いてこう書かれている。
保険は一般の宝くじと同様に、大半の人は外れくじを引きます。そうなると、支払った保険料はすべて無駄になってしまいます。くじが外れれば不幸なことが起きなかった(死ななかった)わけですから、保険とは、損をすることに意味のある商品なのです。
著者のいいたいことがわかっただろうか?
生命保険で得するには早めに死ぬことですが、全員がそうなるわけではないので大半の人は金額的に損をしていることになる。
少数を多数で支える構造のため、多数側は損をして当たり前なのだ。
ここで大事なのは、では自分が入っている保険は果たして適正なのかどうか、ということだろう。
生命保険のリフォーム

生命保険の特徴を考え、リフォームすることが大事だ。
ポイントは、ニーズに合わせて安い保険を上手に組み合わせていくことです。(中略)
将来、自分と家族に何が起こるのかは予測不可能ですから、すべてのリスクに備えることは誰にもできません。「何とかなるさ」と楽天的に考えて、保険料は最低限に抑え、余った分を貯金や投資に回した方がずっと合理的です。
保険は一度入ると入りっぱなしという人が多いと思う。
それはハッキリいって情弱だ。
携帯電話で言えば、大手3社のキャリア携帯を何の疑いもなく継続して使っており、格安SIMのことを調べもしない人、に似ている。
まずは自分の保険を知り、それが適正かどうか考え、リフォームを検討する、この流れが大事になる。
何も考えずに放置しておくことは、ドブにお金を捨てるようなもの。

おわりに
最後に、あとがきから著者の言葉を引用する。
本書の提案をひと言で述べれば、「システムの負の側(ダークサイド)を歩くな」ということです。
たったいちどしかない人生を有意義に過ごすためには、貴重な時間やお金をドブに捨てている余裕ない。
この単純な事実に他人より早く気づくことが、経済的な「成功」への第一歩となる。
常にアンテナを張り、新しい情報を取り入れ、柔軟に対応していく、これが大事になるだろう。
しっかり資産形成して、黄金の羽根を見つけよう。
