
今回の書評は、メンタリストDaiGo氏の「人を操る禁断の文章術」である。
この本は、著者がプロローグでも書いているが、「きれいな文章を書きたい」「かっこいい言い回しを学びたい」「小説家になりたい」、そういった人のための本ではない、ということだ。
文章を書く目的は次のとおり。
文章とは、読まれるために書くものではない。行動させるために書くものだ。
こう見ると、ブロガーやアフィリエイターにはうってつけの本であるかもしれない。
買うはずでなかった高価なものを衝動買いさせた文章とは?

文章の力をビジネスに活かした例を見てみよう。
Q.これは今から十数年前、アメリカの大型量販店での出来事です。ある売り場担当者が紙オムツ売り場に「ある文章」を提示することで、紙オムツよりも高価なまったく別の商品の売上を大幅にアップさせました。その商品とは何でしょう?
さあ、何だと思うだろうか。少し考えてみてほしい。
そこにはこんなコピーが掲示されていた。
「今しか見れない姿、残しませんか?」
ここで陳列した商品は「使い捨てカメラ」である。
このコピーは強烈だと思う。思わず、ジャパネットたかたを思い出した。物を売りたければ、商品をアピールするのではなくそれを使っている姿を想像させること、これが重要なのだ。
ある意味ずるい手法とも言えるかもしれない。しかし、購入した側が本当に使い捨てカメラを使い、「今しか見れない姿」を残すことができたなら、それは誰も損をしていないということになる。
ただ売るだけでなく、思い出まで売る、それが売り手側に求められている本当の商売というものなのかもしれない。
人を動かすのは「論理」ではなく「感情」
次のメールの文面では、どちらが感情をより動かすことができるだろうか。
「先日、オススメしてくださったお店でハンバーグを食べてきました。噂に違わず、おいしかったです」
「この間、教えていただいたお店、行ってきました。ナイフを入れた瞬間、肉汁がジュワっと溢れるハンバーグ、びっくりするおいしさでした」
どちらが感情を動かすかと言えば、もちろん後者だろう。
大事なのは、読み手の感情に響くキーワードを入れること、とのこと。ここで言えば「肉汁」「ジュワ」になるだろう。これを見るだけで反射的に唾液が分泌されるのがわかる。
もうひとつポイントは、相手の顔が浮かぶかどうか、という点だ。ただおいしかったではなく、どうおいしかったのか、それを書くことで相手の顔が浮かびやすくなる。
それが人の心を打つ文章になるのだ。ただ単に、きれいに書く必要はないとDaiGo氏は言っている。
文章は自分で考えるな! 書くべきことは相手の心の中にある

人の心を揺さぶる文章を書きたいなら、自分の頭の中を探る時間は最小限に。刺さる言葉はあなたの中にではなく、相手の心の中にあるのですから。
つまり、自分が書きたいことを考えている時間があれば、それを読む人たちのことを調べたほうがいい。そのほうが、相手の心を揺さぶる文章を書く上で、はるかに役に立つということです。
これはまさにアフィリエイターのためにある言葉と言っても過言ではないだろう。相手の性別、年齢、仕事、趣味など、ライフスタイルを考えて文章を書くことが、アフィリエイトの売り上げにつながると考えると、この本こそ、ブロガーやアフィリエイターが読むべき本と言えるだろう。
もちろん勤め人のビジネスにも活用できる点も多くある。ちょっとした文章の違いで相手の受ける印象が大きく変わるということを知っておくと、ビジネスでも優位に立てることは間違いない。
また、プライベートでも使えるテクニックだろう。恋人や配偶者がなど、相手が望むものを考えて言葉を選ぶというのはもはや当たり前のことで、それをしなければより良い人間関係というのは保てないはずだ。
ということで、この本は全人類が読むべきテクニックが詰まった本と言えるだろう。
おわりに
最後に、この本で私がいちばん気になった言葉を紹介して締めるとしよう。
「
もし、思うままに文章が書けたとしたら、誰にどんな行動をさせたいですか?」
