【書評】人生を再選択せよ!『幸せになる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教えⅡ 岸見一郎古賀史健著』を読んだ感想。

幸せになる勇気を書評するPANDA
 

今回は「嫌われる勇気」に続くアドラー心理学を対話形式でまとめた、第2弾であり完結編となる本書をご紹介しよう。

「哲人」と「青年」は前回の対話から3年が経過したある日、再会する。

「青年」はアドラー心理学を捨てる覚悟で「哲人」と再会したのだった。

「哲人」はしょっぱなから「青年」にこういい放つ。

アドラー心理学ほど、誤解が容易で、理解がむずかしい思想はない。

果たしてどうなることやら。

尊敬とは「ありのままにその人を見る」こと

尊敬される人
パンダ
ありの~ままの~。

前作同様、「青年」が「哲人」に詰め寄る。

そしてこれも変わらず、「哲人」は「青年」を受け流す。

ここでは教育の入口について語られている。

まずどこからはじめればいいのか。

それを「哲人」は「尊敬」と答える。

青年:それはまた、意外な答えですね! つまりあれですか、親を尊敬しろ、教師を尊敬しろ、上司を尊敬しろ、というわけですか?

哲人:違います。たとえば学級の場合、まずは「あなた」が子どもたちに対して尊敬の念を持つ。すべてはそこからはじまります。

青年:わたしが? 5分と黙って人の話を聞くことのできないあの子たちを?

哲人:ええ。これは親子であれ、あるいは会社組織のなかであれ、どのような対人関係でも同じです。まずは親が子どもを尊敬し、上司が部下を尊敬する。役割として「教える側」に立っている人間が、「教えられる側」に立つ人間のことを敬う。尊敬なきところに良好な対人関係は生まれず、良好な関係なくして言葉を届けることはできません。

あなたは子どもや部下を尊敬することができているだろうか?

この部分を読んでどきっとした人も多いのではないか。

現代の常識として、尊敬は下から上へ向けるもの、と多くの人がそう認識しているだろう。

下とか上とか書くのも嫌だが。

しかし、アドラー心理学では全く正反対の考え方をする。

「哲人」が社会心理学者のエーリッヒ・フロムの言葉を紹介している。

「尊敬とは、人間の姿をありのままに見て、その人が唯一無二の存在であることを知る能力のことである」

「尊敬とは、その人が、その人らしく成長発展していけるよう、気づかうことである」

そしてここで「哲人」が畳みかける。

尊敬とは、いわば「勇気づけ」の原点でもある。

「勇気づけ」という言葉がわからない人は、前作の「嫌われる勇気」を読んでほしい。

【書評】人の目をやたらと気にしてしまう人にオススメの本。『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え」岸見一郎古賀忠健著』を読んだ感想。

2018.07.30

変われない本当の理由

頭の中で天使と悪魔が色々言ってきて困っている女性
パンダ
あなたは変わりたいと思ってる?

前作でもありましたが、人は簡単には変われない生き物だ。

それについて「哲人」が解説している。

哲人:たとえばいま、あなたが人生に思い悩んでいるとしましょう。自分を変えたがっているとしましょう。しかし、自分を変えるとは、「それまでの自分」に見切りをつけ、「それまでの自分」を否定し、「それまでの自分」が二度と顔を出さないよう、いわば墓石の下に葬り去ることを意味します。そこまでやってようやく、「あたらしい自分」として生まれれ変わるのですから。
では、いくら現状に不満があるとはいえ、「死」を選ぶことができるのか。底の見えない闇に身を投げることができるのか。……これは、そう簡単な話ではありません。
だから人は変わろうとしないし、どんなに苦しくとも「このままでいいんだ」と思いたい。そして現状を肯定するための、「このままでいい」材料を探しながら生きることになるのです。

青年:ううむ。

哲人:それでは、「いまの自分」を積極的に肯定しようとするとき、その人の過去はどのようなシーンで彩られると思いますか?

青年:ああ、つまり……。

哲人:答えはひとつ。すなわち、自分の過去について「いろいろあったけど、これでよかったのだ」と総括するようになる。

青年:……「いま」を肯定するために、不幸だった「過去」をも肯定する。

ここのやりとりは本当におもしろい。

続いて「哲人」が厳しく叱ってもらったことを感謝する人の話をしたところ、「青年」は過去の理不尽な教師連中にはいまだに不満を持っていると発言する。

それに対して「哲人」がバッサリといく。

哲人:それはあなたが、「いまの自分」に満足していないからでしょう。

いたたたた。

私も過去のそういった仕打ちというか、理不尽なことには感謝しようという気はおこらない。

ということは私も「いまの自分」に満足していないということだろう。

う~ん、痛いな。

更に「哲人」は攻撃を続ける。

哲人:「いまの自分」を正当化するために、(中略)可能性のなかに生きようとしている。

これにはさすがに「青年」も声を荒らげて反論する。

それでも「哲人」は攻撃をゆるめず、最後の鉄槌を下す。

哲人:いいですか、われわれの世界には、ほんとうの意味での「過去」など存在しません。十人十色の「いま」によって色を塗られた、それぞれの会社があるだけです。

青年:……この世界に過去など存在しない!?

哲人:ええ。過去とは、取戻すことのできないものではなく、純粋に「存在していない」のです。そこまで踏み込まない限り、目的論の本質には迫れません。

過去は存在していない、ここはすぐには理解できないと思う。

ゆっくり読み進めよう。

あなたの「いま」が過去を決める

タイムマシンに乗る男性
パンダ
さあ、この章は理解できるかな?

もう「哲人」は止まらない。

哲人:人間は誰もが「わたし」という物語の編纂者であり、その過去は「いまのわたし」の正統性を証明すべく、自由自在に書き換えられていくのです。(中略)人は過去に起こった膨大な出来事のなかから、いまの「目的」に合致する出来事だけを選択し、意味づけをほどこし、自らの記憶としている。逆にいうと、いまの「目的」に反する出来事は消去するのです。

「目的論」からすると、自分の「いま」の状態に合わせて過去の必要なデータを引っ張り出したり、または消去したりするとのこと。

「いま」が「過去」よりも良い状態である場合は、「過去」の嫌な出来事も、「あの出来事があったからいまの自分がある」と思えることができるということ。

ただ、上にもあったように、「いまの自分」に満足していなければ、「過去」の嫌な出来事は、嫌な出来事のままでいるしかないだろう。

「過去」が「いま」を決めるのではなく、「いま」が「過去」を決めるのだ。

最後に

ゴールテープを切る人

最後に「哲人」がアドラーについて語った点をご紹介して終わりにしよう。

哲人:ある人から「人間が変わるのに、タイムリミットはあるか?」と質問を受けたアドラーは、「たしかにタイムリミットはある」と答えました。そしていたずらっぽく微笑んで、こう付け加えたのです。「寿命を迎える、その前日までだ」。

パンダ
諸君、幸せになる勇気を持ちたまえ
幸せになる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教えII

幸せになる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教えII

岸見 一郎, 古賀 史健
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