【書評】人の目をやたらと気にしてしまう人にオススメの本。『嫌われる勇気 自己啓発の源流「アドラー」の教え」岸見一郎古賀忠健著』を読んだ感想。

嫌われる勇気を書評するPANDA
 
パンダ
他人から嫌われることをこわいと思う?

この本は「青年」と「哲人」の対話形式で話がすすんでいく。

この「青年」は幼い頃から自分に自信が持てず、出自や学歴、容姿についても強い劣等感を持っている。

そして、他者の視線を気にし、他者の幸福を心から祝福することができず、いつも自己嫌悪に陥っている、そんな青年である。

いいかえれば、この「青年」は「あなた」だ。

さあ、この本であなたの心を丸裸にしてしまおう。

世界はどこまでもシンプルである

古都のはずれに、世界はどこまでもシンプルであり、人は今日からでも幸せになれる、と説く哲学者が住んでおり、そこに青年が訪ねることで対話がはじまる。

まず冒頭で「哲人」が口にした言葉を紹介しよう。

・世界はどこまでもシンプルである。

・人は変われる。

・誰もが幸せになれる。

・問題は世界がどうであるかではなく、あなたがどうあるか。

これらが「哲人」が語る言葉の根本的な考え方になっている。

これは「勇気」の物語である。

嫌われる勇気と目的論と原因論

ひきこもりで部屋の隅でしゃがみこむ男性

目的論と原因論、これがアドラー心理学のポイントだ。

アドラー心理学では、過去の「原因」ではなく、いまの「目的」を考える。

ここで虐待を受けてひきこもりになった、「青年」の友人を例にあげている。

哲人:「ご友人は不安だから、外に出られない」のではありません。順番は逆で「外に出たくないから、不安という感情をつくり出している」

青年:「はっ?」

哲人:「つまり、ご友人には「外に出ない」という目的が先にあって、その目的を達成する手段として、不安や恐怖といった感情をこしらえているのです。アドラー心理学では、これを「目的論」と呼びます。

これを読んだ方は、「青年」と同じように「はっ?」となったのではないだろうか。

これをすんなりと受け入れるのは難しいと思う。

まずは様々なシチュエーションでのことを考えてみると良いだろう。

「哲人」は念を押すようにこう言っている。

「われわれは原因論の住人であり続けるかぎり、一歩も前に進めません」

パンダ
原因論が悪いとかじゃなくて、目的論でいたほうが前に進めるんだ。

人は怒りを捏造する

机に乗り部下を怒鳴りつける上司

「青年」が喫茶店で本を読んでいたとき、通りかかったウェイターが「青年」の上着にコーヒーをこぼしてしまったそうだ。

そこで「青年」はそのウェイターを怒鳴りつけた。

「哲人」はこの怒りをこう解説している。

哲人:「簡単です。あなたは「怒りに駆られて、大声を出した」のではない。ひとえに「大声を出すために、怒った」のです。つまり、大声を出すという目的をかなえるために、怒りの感情をつくりあげたのです」

青年:「なんですって?」

哲人:「あなたには大声を出す、という目的が先にあった。すなわり、大声を出すことによって、ミスを犯したウェイターを屈服させ、自分のいうことをきかせたかった。その手段として、怒りという感情を捏造したのです。

これには「青年」が反発する。

これは私なりに考えてみましたが、この「怒りを捏造した」というのは実はよくあるのではないか、と考えた。

例えば他の誰かが自分が気に食わないことをしたとき、怒りを抑えられるときと怒りを抑えられないときがなきだろうか?

こういうのを客観的に見ると、なぜそんなことでそんなに怒ってんだよ、と思われるもの。

同じできごとでも怒るときと怒らないときがあるのは、何か別のことでストレスがたまっており、それを放出する機会を求めていた、と言えるのではないだろうか。

それこそ「目的論」で怒りのタネを探していたということなのだろう。

哲人はこうも言っている。

怒りとは出し入れ可能な「道具」なのです。

まずはこれを理解し、怒りの感情をどうコントロールしていくかが大事になるだろう。

パンダ
怒りを捏造って、そうまでして怒りたいものかねぇ。

あなたの不幸は、あなた自身が「選んだ」もの

落ち込んで下を向く男性

この章もなかなか心をえぐってくる。

あなたはこれを受け入れられるだろうか。

「青年」は幸福を感じることができない、自分が嫌いだと、心のうちをあきらかにする。

だから、生まれながらの不幸は存在する、と考えているが、「哲人」はそれを明確に否定する。

哲人:あなたは幸せを実感できずにいるのでしょう。生きづらいと感じることもあるし、いっそ別人に生まれ変わりたいとさえ願っている。しかし、いまのあなたが不幸なのは自らの手で「不幸であること」を選んだからなのです。不幸の星の下に生まれたからではありません。

自分自身が今まさに不幸だと思っている方には受け入れられない言葉だろう。

「青年」も同じだ。

青年:つまり、わたしは「不幸であること」を選んだばかりでなく、このひねくれた性格までも自らの手で選んだのだと?

哲人:もちろんです。(中略)
ライフスタイルが先天的に与えられたものではなく、自分で選んだものであるのなら、再び自分で選びなおすことも可能なはずです。

「青年」は選びなおせと言われて、即座に変われるわけがないと反論する。

あなたも同じ意見だろうか。

そうだろう、今の不幸な自分は自分自身が選んだもので、それは選びなおすことができると言われてもペテンにかけられているようで納得のできるものではない。

「青年」も同じように、ペテンだ、と言っている。

しかし、ここから「哲人」は更にギアをあげて畳みかける。

以下、「哲人」の言葉を羅列しますので、目を見開いて熟読してほしい。

・あなたが変われないでいるのは、自らに対して「変わらない」という決心を下しているからなのです。

・あなたがご自分のライフスタイルを変えないでおこう、と不断の決心をしているからなのです。

・つまり人は、いろいろと不満はあったとしても、「このままのわたし」でいることのほうが楽であり、安心なのです。

思い当たる点はないだろうか?

特に、「このままのわたしでいることのほうが楽」のあたり。

変わるということは過去の自分を否定することであるため、人は変われないのが普通だ。

簡単に変われてしまったら過去の自分は一体なんだったのか、今までやってきたことは何だったのか、そう思って変わることができない。

そして、ふたりの会話はこう続く。

青年:変わりたいけど、変わるのが恐ろしいと?

哲人:ライフスタイルを変えようとするとき、われわれは大きな〝勇気〟を試されます。変わることで生まれる「不安」と、変わらないことでつきまとう「不満」。きっとあなたは後者を選択されたでしょう。

青年:……、いま、また〝勇気〟という言葉を使われましたね。

哲人:ええ。アドラー心理学は、勇気の心理学です。あなたが不幸なのは、過去や規模のせいではありません。ましてや能力が足らないのでもない。あなたには、ただ、〝勇気〟が足りない。

いうなれば「幸せになる勇気」が足りていないのです。

パンダ
幸せになる勇気……。勇気の出る言葉だ。

嫌われる勇気、最後に

「青年」と「哲人」の対話はまだまだ続く。

ここまででなんとなくこの本のテイストはわかったと思う。

あとはあなたがどれだけ柔軟な心をもってこの本を読むことができるか、がポイントだ。

最後に一文を紹介して終わりにしよう。

あなたが新しい一歩を踏み出せるように。

人はいま、この瞬間から幸せになることができる。

パンダ
勇気を出すのは、いましかない!
嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

嫌われる勇気―――自己啓発の源流「アドラー」の教え

岸見 一郎, 古賀 史健
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