【書評】『正義の教室 善く生きるための哲学入門 飲茶』を読んだ感想。サンデル教授よりもわかりやすく正義を解説した本。

『正義の教室 飲茶』を書評するPANDA
パンダ
正義とは答えの出ない問いなのかもしれません。

今回の書評は『正義の教室 飲茶』だ。

本書は「正義」について問うものだが、同じように「正義」を取り扱ったマイケル・サンデル氏の『これからの「正義」の話をしよう』よりもわかりやすい内容になっている。

まず一文引用してみよう。

「消防士は、身内を最後に助けるものだ」

この言葉が登場人物たちに大きく関わってくる。

『正義の教室 飲茶』をオススメする理由

あらすじは、主人公の生徒会長今中正義を中心に3人の女子と学校内の問題について対処しながら、正義とは何かについて議論していく、というものだ。

正義について考えるには、最適の本と言えるだろう。

『これからの「正義」の話をしよう』は少し内容的には難しいと思う。

本書のように学校を舞台にして、身近な問題について議論するほうが圧倒的にわかりやすい。

まず前提として、正義の判断基準について引用しよう。

「人間が持つ3種類の『正義の判断基準』、それは『平等、自由、宗教』の3つだ」

視野を広げて世界レベルで見るとこの3つに集約されるそうだ。

「平等」を尊重する国、「自由」を尊重する国、そして「宗教」を尊重する国、の3つだ。

それぞれ国の名前が浮かぶだろう。

要は国の立場や形によって正義は異なるということだ。

同じ行為であっても国が違えば、犯罪になったりならなかったりするように、正義にもその国ごとの解釈があるのだ。

ゆえにどう考えるか、の前に、どこに生まれるか、が非常に重要なのだ。

もう一つ引用しよう。

「人間がどう考えるかは、その人が生きる社会のシステムによって、無意識に形づくられてしまっている」

よく外国のことを非難するような声や論調はよく聞くが、その非難をしている人が、その非難の対象の国で生まれていたとしたらそれを当然のように受け入れることだろう。

おかしいなどと思わないはずだ。

人間は最初から決まっていることには疑問を持たない。

あとから入って来た情報に対しては、極端に拒絶反応を示す。

人間それぞれがどう考えるか、ということよりも、どこに生まれるかでその人間の考え方は形成されてしまうのだ。

ゆえに国と国の争いなど意味がないことがわかるだろう。

たまたま立場が違っただけだ。

立場が逆だった可能性もある。

そんないわばくじびきのようなもので、立場を決め、それぞれの主張を言い合うというのは、いったい何のためなのだろうか。

このあたりを理解すれば人を非難することが減るのではないかと思う。

誰のせいではない。

ただ環境が違っただけなのだ。

ただ自分の居場所を守りたい、それだけなのだ。

だから、どこに正義があるかなど、誰にもわからない。

ひとつ言っておくが、本書を読んだからと言って「正義」の正体がわかるわけではない。

むしろ「正義」とは何なのか、余計わからなくなるかもしれない。

それでも「正義」について議論を重ね、お互いの理解を深めていくことが「正義」に近づく唯一の方法なのかもしれない。

最後に、本書は衝撃的なラストが待ち受けている。

このようなラストにする意味があったのかは疑問の残るところだが、それは実際に読んで判断してほしい。

本書であなたなりの「正義」を見つけてほしい。

パンダ
「正義」それは人それぞれの心の中に隠されているのかもしれません。