今回の書評は、イケダハヤト氏の『武器としての書く技術』である。
いつも誰かをディスっている印象のイケハヤ氏だが、この本はいたって真面目な内容である。文章もやわらかく丁寧で、誰かを攻撃するようなことはあまり書かれていない。
書籍だから当たり前かもしれないが、これがツイッターだったら違うだろう(笑)。
・ブログで稼ぎたい人
・伝わる文章をかけるようになりたい人
・文章を速く書けるようになりたい人
文章が残念な人の10の特徴
ここでは、「文章が残念な人の10の特徴」ということで伝わらない文章の例をあげている。
なかには、「一文が長い」や「同じ語尾が続く」など基本的なことが書かれているが、今は文章下手だけどこれからうまくなりたい、という人にちょうどいい内容になっている。
私が、「ああ、そうそう」と思ったのが、「何が言いたいのかわからない」という項目。長々と書いているが、え、で、何が言いたいの?っていう文章というのは実際存在する。
政治家の答弁なんかが正にそれだ。長々としゃべるが最終的に一体何を言いたかったのか意味不明なものだ。
伝わる文章を書くには、何を伝えたいか明確にすることが大事と書かれている。あとはしっかり断言することが大事とも。
「~~したいと思います」や「~~な気がします」などの表現では弱い。
誰かに届けたいと思っているなら、味付けは濃いめで良いとイケハヤ氏は言っている。
凡人の文章を最強の文章に変える10の魔法
一部、本文を引用してみよう。
他人に厳しく自分に甘い、というのが人というものです。これは文章にもいえます。他人の文章には手厳しいくせに、自分の文章には甘くなりがちです。自分では面白いと思っていても、他人から見ると大したことはない、ということは往々にしてあるのです。
これは私も反省すべき点だと思った。どうしても人の文章は、厳しく見がち。
ちょっとした表現の間違いや、誤字脱字があると鬼の首をとったように指摘してくる人がいるが、私はそこまでではないにしても、それに近いところはあるかもしれないな、と思った。
気を付けよう。
これを防ぐには、「編集者」になって自分の文章を見てみると良いとのこと。
それ以外には、タイトルには数字を入れようとか、マジックワードを使うとか、リズムを意識するとか、ひらがなと漢字のバランスに気を付けるなど、今いるブロガーやアフィリエイターの人たちが言っていることと同じだ。
イケハヤ氏の言っていることが広まったのか、これらはブログを書くにあたっての常識なのか、どちらかはわからないが、みんな言っていることは一緒であることから、それだけ重要ということだろう。
月40万字を書き続けるイケハヤの12の秘密
イケハヤ氏はひとつの記事を15分で書くようにしているそうだ。自分の執筆スピードを測ってみると良いとのこと。
筋トレするように訓練を続けていき、それを計測していると自分の執筆スピードが成長していることが実感できるそうだ。やはり速く書けるというのは武器である。
目まぐるしく情報が錯そうしている時代の中で、いかにその情報をまとめて発信するか、ここができるかできないかで大きな差が出てくるのだと思う。
文章が丁寧だと思ったら、ちょっとキツく書かれているところがあった。
人間なんてどうせバカ。最大限頭を働かせた末に紡ぎ出された言葉なら、どんなに中途半端で、未熟であれ、発信しておくべきです。バカだと思われたっていいじゃないですか。実施、そこが自分の限界なわけですし。人間なんてどうやったってバカで無知なんです。変に賢く取り繕うなんてありません。自分のバカさ加減を知り、高めていけばいいだけの話です。バカだと思われそうなことでも、いざ発言をしてみたら、意外と評価されたり、共感されたりすることもありますしね。
「バカ」というワードが飛び交っているが、これぞイケハヤという感じである。
ただ、今と比べるといささか物足りない感じはする。
この本を執筆したときは、まだ26歳だったそうで、まだトゲがあまりとがっていないときのようだ。
とりあえずここでいっているのは、下書きにため込まず、完璧主義を捨て、どんどん発信していこうと。
これはブログだけでなく、仕事や人生においてもいえることであろう。
ここで、朝井リョウ氏の小説「何者」の一文を思い出した。
十点でも二十点でもいいから、自分の中から出しなよ。自分の中から出さないと、点数さえつかないんだから。これから目指すことをきれいな言葉でアピールするんじゃなくて、これまでやってきたことをみんなに見てもらいなよ。自分とは違う場所を見てる誰かの目線の先に、自分の中のものを置かなきゃ。何度も言うよ。そうでもしないともう、見てもらえないんだよ、私たちは。百点になるまで何かを煮詰めてそれを表現したって、あなたのことをあなたと同じように見ている人はもういないんだって
このセリフ痛かった。だいぶ、私の胸に深く刺さったセリフである。
あなたのことをあなたと同じように見ている人はもういないんだって、これヤバイほど響く。
とにかくイケハヤ氏も、どんどん発信して恥をかけ、と言っている。
あなたは自分を出しているだろうか?
その他、本の読み方のコツや、アドセンスやアフィリエイトについても詳しく書かれているので、本気でブログをやりたい方は一読をおすすめする。
最後に一文引用して締めるとしよう。
組織の枠を超えて人々をつなぐインターネットを用いれば、自分のわがままを許してくれる空間を、自らの手で作り出すことができます。ぼくはそうして、幸せに、反社会的に生きています。今は時代が違うのです。用意された道具を使って、わがままに生きる方法を模索していきましょう。
さあ、これからの人生、どう切り開いていくかは自分自身にかかっている。がんばろう。
