
今回の書評は、「一瞬で人生が変わるすっごい呪文」だ。
呪文という言葉が使われているが、魔法使いが使うようなものではなく、この本の中でDaiGo氏は呪文をこのように定義している。
声に出す(もしくは心の中で発する)だけで、あなたのコンプレックスやマイナス思考を「あなたが望むように」「劇的に」変えられるスペシャルなフレーズ。
Contents
今の怒り、何点ぐらい?
あなたが満員電車で足を踏まれたとします。イラッとしますよね? 踏まれた跡や汚れを見て気分も落ち込みそうです。こんなときは、
「今の怒り、何点ぐらい?」
という「呪文」を自分自身に問いかけてみましょう。採点基準は、怒りをまったく感じていない状態が0点、相手を殺したいくらい腹が立っていたら100点としましょう。こうすると、「たしかに腹は立つけど、殺したいほどではないなぁ~。30点ぐらいかな」などと考えますよね。そしてじつは、このように採点している時点で、あなたは自動的に自分の怒りを「観察」できているのです。つまり、感情といったん距離を置くことができて、何の苦労もなく「脱フュージョン」が成功するわけです。
脱フュージョンというのは、フュージョンは融合を意味するが(ドラゴンボールに出てくるあれ)、「自分はダメなんだ」という「一体化したイメージと現実」が脳裏に刻み込まれてしまうのを切り離す方法という意味だ。
怒りを点数化して客観視するのは、怒りを鎮めるには最適だ。
他にもイライラしたときのための呪文が紹介されているので、自分にあったものを使うと良いだろう。

誰とでも話せる自分になる呪文
苦手な相手と話す方法
どうしても苦手で、話すのが憂鬱な相手がいる
↓
呪文「誰でも3つくらい、いいところがあるものよ」
苦手な相手と話さなくてはいけない場合、「心の中で3回ほめてから話をはじめる」というのが効果的だ。
他にもいくつか手法があるが、どれも自分から積極的に動くということが大事なのだろう。
やはり萎縮して、相手に神経をすり減らしているだけでは何も変わらない。
批判的な相手を説得する呪文「イエス・バット法」
何を言っても「でもさぁ」「そうは言っても」と、批判的に返してくるような人の意見をひっくり返したいときに役立つのが「イエス・バット法」というやり方です。方法は簡単。相手が文句を言ってきたときに、いったん「イエス」と認めてしまうのです。(中略)
「イエス・バット法」というものの、「でも」とか「だけど」という言葉を使うと相手は批判されたと感じるので、その言葉は使わずにさりげなく自分の主張を滑り込ませるのがポイント。批判的な相手を説得する必勝技です。
これを実際使ってみました。仕事で。
どの会社でもそうですが、「でも」「だけど」が口グセの人がいると思う。
そういう人が私の近くにもいるで、とりあえずいったん「イエス」というようにしたら、あら不思議。
こちらの意見が通りやすくなった。
批判的な人はいったん「イエス」と認めてもらえばそれで満足してしまうようで、最初から批判してしまっていたときよりもすんなり意見が通るようになった。
批判的な人ってただ自分を認めてほしいというさみしがり屋の人たちなんだと身をもって知った。
だれかがかまってくれればそれでいいんだろう。
議論の中身などあんまり関係ないのかもしれない。(なんというやっかいな)

「ご存知だとは思いますが」を駆使しよう
職場の上司や義父母など目上の人と話すときは気を使うだろう。
ですが、DaiGo氏はこんなふうに言っている。
目上の人って意外にコントロールしやすいのです。〝立場の違い〟をこちら側がうまく活かせば、意見がぐんと通りやすくなるのです。目上の人への最強フレーズが、今回の「呪文」です。全然ご存知じゃないことでもいいので、話の最初に「ご存知だとは思いますが……」とつけるのです。
勤め人にはこのあたりの感覚はわかりやすいのではないだろうか。
むしろこの言葉使っているよ、という人も案外多いかもしれない。
目上の人、高齢の上司というのは、尊厳をうまくコントロールしてあげればたちまち機嫌がよくなるもの。
また、「ご存知だと思いますが」というのは「知ってて当然ですよね」という意味も含むので、その意見に対して無知をさらすようなことは避けようとするもので、こちらの意見が通りやすくなるという点もあるだろう。
この怒りのパワー、活かさなきゃもったいない!

怒りは決して悪い感情ではなく、人は、怒りの感情を抱くと行動力や問題解決能力が非常に高くなる、ということがわかっています。(中略)
怒りを行動力に変えるために、イラッとしたらこの呪文、「この怒りのパワー、活かさなきゃもったいない」をつぶやきましょう。日頃から「目標」を意識しておくと、すぐに行動に取りかかることができます。それでも怒りがおさまらないときは、心を安定させる「書く」行為もオススメです。
なるほど、と思った。
そう思ったのは僕が仕事でこういった場面を何度か経験していたからだ。
会社の誰かのせいで怒りを覚えたとき、その後の仕事の進み具合が早く感じたことが多々あった。
怒りというのは人間の推進力になるのだと身をもって体験した。
書くという行為も非常に有効。これも実践済。
とにかくイライラしたら紙に書きまくる、すると一度表現された怒りは客観的に見ることができ、そんなに怒ることでもないか、と冷めて見ることができるようになる。
最後に
この本では他にも、
・片付けられる自分になる!
・いつでもやせられる自分になる!
・ストレスに強い自分になる!
・〇〇できない自分を変える!
などの章がありますので気になる方は一読ください。
最後にひとつ引用して終わりにしよう。
仕事を「がんばりすぎない」
イソップ寓話に「木こりと旅人」というお話があります。黙々と大木に向かって斧を振る木こりがいます。夕方になっても作業はあまり進んでいない様子。不思議に思った旅人が斧を見ると、刃が欠けてボロボロでした。旅人が「休憩をとって斧の刃を研いだ方ほういいんじゃないですか」と言うと、木こりは「何を言うんだ、こっちは木を切るのに忙しくて刃なんか研いでいる時間はないんだよ」と答えるのです。
これはある意味笑えない話だ。
自分の仕事と置き換えて考える必要があるかと。
自分にとっての斧と刃はなにか、と。
苦しい記憶が忘れられないのは単純に疲れすぎているからかもしれない、とDaiGo氏は言う。
呪文を使うことは大変有意義ですが、その前に自分の刃を研ぐことが大切なのかもしれない。
一度自分を見つめ直してみよう。
