
今回の書評は「ブランド人になれ」だ。
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ブランド人の汗水に価値はない
いきなりインパクトのある見出しだが、以下のように田端氏は言っている。
はっきり言おう。汗水だとか、つらいだとか、苦しいだとかそれ自体には一切価値はない。一言で言えば、「お客様を喜ばせること」、それだけがブランド人の仕事だ。どんなに苦労したって汗や血や涙を流したって、誰も喜んでいなければ仕事でも何でもない。
確かにおっしゃる通り。
でも世の中には汗水流したことで仕事をした気になるという人は多いと思う。
というかほとんどの人がそうじゃないだろうか。
だが、誰かを喜ばせたり、誰からから感謝されたり、そういうことができないのであれば汗水は何の意味もないと断言している。

ブランド人になるにはとにかく量をこなせ。
他人が喜んで銭を払ってくれるようなレベルにまで、仕事の本質を高めるためには、圧倒的な量をやりきる時期が絶対に必要だ。量をこなさない人間が、ブランド人になることは絶対にない。量は質に転化する。
前項で汗水には何の意味もないと言っていたが、汗をかいたことがない奴にブランド人への扉が開かれることはないとのこと。
確かにいきなり質や効率を求めて仕事をしても、量をこなさなければ見えない景色というものは確実にあると思う。
質だけ求めている人は、量をこなしている人をどこかバカにする傾向にあるが、そのあいだに量をこなす人はあっという間に先に行ってしまうもの。
田端氏は、無駄に長く下積みを続ける必要はなく、2年に絞ってがむしゃらに量をこなして基礎をつくれと言っている。
武士は打ち首。サラリーマンはノーリスク
僕は気が付いてしまった。実はサラリーマンこそ、ギャンブルし放題なのだ。この本を読んでいる君が今サラリーマンをやっているのならば、「会社の持っている資産を利用させてもらいながら、自分なら勝てるはず!と思うギャンブルに挑む」という最高すぎる特権を活かさない手はない。
仮に自分で起業してギャンブルして失敗した場合、すべてを失う可能性がある。
しかし、サラリーマンであれば最悪クビになるだけ。
考えると、これだけ守られて戦える立場というのはかなり有利なのではと思う。
ただ、そこまでの勇気があるかどうかが問題だが。
いわゆる普通のサラリーマンにとっては、会社をクビになるというのはそれなりのリスクであることは間違いない。
でも打席に立たなければ何も得られない。

上司を共犯者にせよ!
こんな上司、なかなかいないよなというお話。
田端氏の上司だった人の話が書かれていた。
「俺は仕事はしない。仕事はしないが責任は取る。責任を取るのだけが俺の仕事や! 俺のハンコは、机のこの引き出しに入っているからテキトーに押しといてエエよ」。これがTさんの口癖だった。社内で役員向けの報告会議で「この営業進捗の状況で成功するのか?」と厳しく迫られて僕が窮地に陥っているとき、Tさんはほとんど大ぼらに近いハッタリを利かせ「20年近く営業やってきて、四半期ごとの目標達成率90%近い実績が僕がついてるんで大丈夫です! 役員の皆さんは僕を信じないのですか?」とまで言い切ってくれた。帰り道「あんな大風呂敷広げて大丈夫なんですか?」と心配する僕に、「イザとなったら俺がクビになればええんだろ。そろそろ本気でプロゴルファーになろうかと思ってたから、丁度エエわ。だから、お前は心配するな。内向きの言い訳仕事にエネルギーを使うなよ!」と背中をグッと押してくれた。
このときほど、僕は上司の言ったことに心が痺れた瞬間はない。

こんなこと言ってくれる上司なんてほとんどいないだろう。
だいたいが保身に走り、部下のせいにする上司がほとんどだ。
こういった上司に巡り合う田端さんは運がいい。
でも行動しているからこそ仕事のできる上司に出会うのかもしれない。
上司とメシになんか行くな
会社の人間と仲良くすることは悪いことではないが、食事の時間まであまりにも密接に癒着しているのは健全ではないと言っています。
ブランド人を目指すのであれば、あなたが今月、社内の人とランチをしたり、夜に飲みにいった回数を数えてほしい。そして、社外の人とランチをしたり、夜に会食した回数も数えてほしい。前者が後者を上回っているようであれば、黄色信号だ。誰とメシを食べているか? これほどに君のブランド力を表す行為はない。
こう書かれているからではないが、僕自身は上司とメシなどほとんど行かない。
上司とメシに行っても、無駄に時間が長くなったり、無駄に気を遣ったりといいことなどない。
昔からの変な慣習みたいのはなくすべきだ。

ブランド人になるなら、まずは何でもやってみろ
これもおおいに納得できる。私もとりあえずやってみる派だ。
ですがなかには新しいものには見向きもしない人がいる。
50代くらいの経営者のお歴々を前に、僕はこう問いかけた。
「ポケモンGOをやったことがある人は、手を挙げてください」
すると嘆かわしいことに、1割も手が挙がらないのだ。僕は愕然として、客席を煽った。
「まだポケモンGOをやったことがない経営者なんて、クソダサいですよ! 皆さん、ここでこんな話を聞いて『お勉強』した気になっているより、今すぐ手元のスマホでポケモンGOをダウンロードして遊ぶほうが大事です!」
ちょっとアプリを落としてみるとか、ちょっと検索してみるとか、簡単にできることをやろうしない人って結構いる。
特に年齢が上がれば上がるほど。
自分が理解できないものは手を出さない。
手を出さないという固い考えをしているから理解できないということを理解しないと変わることはないだろう。
若かろうが年寄りだろうが、新しいものはなんでも吸収してやる、という意気込みが大事だ。

限界までカネを使え
「老後の蓄えがないと不安だ」なんて考えは投げ捨て、手元にあるカネはどんどん使ってしまおう。若い起業家への投資に回す。未知なる経験をする。バカ高いアートを買ってみる。思いっきり使えば、回り回っていずれブーメランのようにカネは戻ってくる。ZOZOの前澤社長は「カネは使えば使うほど増える」とも言っている。
前澤氏はツイッターでこのように言っている。
お金は使えば使うほど増える。
会社では買えないモノやコトはもちろん個人で買う。
自己投資は回り回って会社や事業に活きる。
だから、結果お金が減らない。 / ゾゾタウンの前澤友作社長、スタートトゥデイ株230億円分を売… #NewsPicks https://t.co/POmpx7LrwS
— Yusaku Maezawa 前澤友作 (@yousuck2020) 2018年5月30日
身銭を切った痛み、というのはとても大事。
借りた本は読むのに身が入らないけど、自分で買った本は真剣に読むことができるものだ。
でも「宵越しの金は持たねえ」というのはかっこいいけど、現実問題、ある程度の貯金というか余裕は必要だ。
田端氏だって資産形成しているはずだ。
無計画にお金を使うのは違うと思うので、計画的に経験を買う、というのが必要である。
炎上しない奴は燃えないゴミだ
この本にはいろいろと刺激のある言葉が書かれているが、この項目が一番炎上しそうだ。
田端氏は過去にこんな炎上があったそうだ。
映画「ソーシャル・ネットワーク」で今どきのスタートアップ企業の雰囲気をリアルに描いていることに感心したそうです。
感心した僕は、ツイッターで「今や、コードが書けない奴はネット企業じゃ、×××××なんだな」と感想を記した。「×××××」の部分には「被差別民」「二級市民」というつもりで5文字の単語を書いたのだが、これがマズかった。
5文字が気になる人は検索してみてほしい。
で、これがかなり大きな問題になり、結果、1か月間の自宅謹慎処分になったそうだ。
で、この話のおもしろいところは、
田端氏は差別問題について勉強して、電話抗議までしてきたツイッター民に、勉強させていただきました、という内容のDMを送ったところ、
「そんなことで謹慎処分を課すなんて、ひどい会社ですね」と同情してきたとのこと。
「てめえのせいだろ!」と突っこみたくなった、というお話。

たかがカネのために働くな
この項目では、毎年毎年自殺者がいるということについて田端さんは嘆いている。
カネというつまらない紙きれのために生きるな。
カネのために死ぬという、最強のダサすぎる最期は絶対に避けろ。
僕は声が嗄れるまで、何度でも君に呼びかけたい。
たかだカネのことで死ぬな。
ワクワクして生きろ。そうすればカネもついてくる!
カネを絶対視しているとカネに踊らされて転落して人生を終えることになる、と。
熱い言葉である。人は追い込まれると弱い生き物。どうにかなる、と開き直って生きることで見えて来る景色があるかもしれない。
最後に
この本を最後まで読んでくれた君は、ブランド人とは何たるかを理解したはずだ。あとはもう行動あるのみ。この本を何度も読み返してくれるのもいいが、さっとゴミ箱にでも捨てて行動することにこそ最大の価値がある。
自分の本をゴミ箱に、なんてなかなか言えないことだ。
でもそれくらい行動することが大事なんだ。
よし、じゃあ本を捨てて行動しよう。すべてはそれからだ。
