【書評】『人工知能はどのようにして 「名人」を超えたのか? 山本一成著』を読んだ感想。将棋プログラム「ポナンザ」開発秘話。

「人工知能はどのようにして名人を超えたのか」を書評するパンダ
 
パンダ
あの将棋プログラム「ポナンザ」を開発した人の本だよ。

まずは著者のご紹介。

1985年生まれ。プロ棋士に初めて勝利した現在最強の将棋プログラム「ポナンザ」作者。主要なコンピュータ将棋大会を4連覇中。愛知学院大学特任准教授、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員、HEROZ㈱リードエンジニア。本書が初の著書となる。

本の内容について著者が冒頭で語っていることはこちら。

将棋や囲碁の例を軸にしながら、人工知能において最も重要な3つの技術、「機械学習」「深層学習」「強化学習」の本質を、できる限りわかりやすく解説します。ポナンザを作りながら、私自身が直感的に腹落ちしたことをお話ししますので、この本でしか読めない内容になっているはずです。

パンダ
プログラム開発者の生の声というのは貴重だね

将棋の名人を倒すプログラムは、名人でなければ書けないのか?

ではまず、次の中でどれが一番計算が難しいと思うだろうか?

チェス、オセロ、将棋、囲碁。

ゲーム中に現れる局面の数は以下の通り。

オセロ 10の60乗
チェス 10の120乗
将棋  10の226乗
囲碁  10の360乗

数値には諸説あるそうですが、これが通常言われる局面の数だそうだ。

ただ、局面数が多いからコンピュータが人間に勝つのが難しくなる、とは一概に言えないらしい。

「簡単な計算」と「記憶」。繰り返しますが、コンピュータは基本的に、この2つ以外のことはできません。コンピュータがそれ以外のことができるように見えたとしても、それは「簡単な計算」と「記憶」を使っていろいろな問題を上手に解決できるよう、プログラマと呼ばれる人たちが、コンピュータに指令を与えるプログラムを書くことで解決しているのです。
そうした特徴を持つコンピュータは、将棋というゲームにどう立ち向かえばよいのでしょうか? 記録として残っている、すべてのプロ棋士の対局を覚えれば強くなれるのでしょうか?
残念ながら、答えはNOです。10年前のコンピュータの将棋は、今に比べてとても弱いものでした。しかしプロ棋士の対局の経過をすべて覚えることは、10年前のコンピュータにとってもとくに難しいことではありませんでした。でも、どれだけ過去の棋譜を記憶しても、コンピュータは将棋で人間に勝てなかったのです。

素人考えであれば、コンピュータが棋譜をぜんぶ記憶すれば負けないと思うものだが、そう簡単にはいかないようだ。

著者の山本氏はこの点について考え、工夫を凝らしていくことで、弱いプログラムを強くしていった。

ここで私が思ったことは、一般的な仕事に置き換えたときに、知識はあれこれ持っているけど仕事の成果という点において大した結果を残していない人、を思い浮かべた。

ただ知識だけを詰め込んでもうまくはいかないということだ。

これは人間もコンピュータも同じことが言えるようだ。

コンピュータにとっての将棋とチェスの本質的な違い

チェスは将棋に比べて機動力が高い駒がほとんどです。一方、将棋は足が遅い駒がほとんどです。これが、盤面のどこかで緊急事態が生じたときに大きな差になります。チェスの駒は緊急事態が生じても、すぐに現場に駆けつけられますが、将棋の駒はなかなか駆けつけられません。そのためチェスでは駒をどれだけ盤面に残存させているかが局面の良し悪しに直結する一方、将棋は駒がよい配置にあることが、局面の良し悪しに直結するのです。
駒の残存量を計算することは、コンピュータにはとても簡単なことです。もちろんチェスにはそれ以外にも大事な要素がたくさんありますが、チェスというゲームがどういうものであったかを人間は論理的に表現することができました。これこそが、コンピュータにとって将棋とチェスが区別される理由だったのです。

コンピュータがチェスの世界チャンピオンを破ったのは20年前。

20年という歳月から、どれだけ将棋がコンピュータにとって難しいものなのかがわかる。

将棋というゲームを表現するには、すでにお話したように1000項目程度の値の調整では足りません。少なくとも10万項目以上の値が必要だと私は考えています。ポナンザに至っては1億項目を超える値の調整をしています。そのすべての値を調整することは人間にはできません。こういった大量の作業は、やはりコンピュータにやってもらうのがいいですよね。
このような、「値の調整をコンピュータに自動的に調整してもらおうという試み」から、機械学習という手法が生まれました。

この機械学習という手法により、ポナンザに変化が訪れたとのこと。

筆者はポナンザに「知性」すら感じるようになったと語っています。

このままいけばコンピュータが人間を追い抜くのは確実だ。追い抜くとは将棋などのゲームで勝つということだけでなく、人間そのものの能力をコンピュータが超えてしまう時代が来るだろうということだ。

一体どうなっていくのかはまったく想像がつかない。

もしかしたら、SF映画のように機械が人間を支配する世界が訪れるのかもしれない。

パンダ
マトリックスの世界だね。

ディープラーニングで人工知能が急速に発展する

機械学習の分野では、ここ数年で大きなブレイクスルーが何度もありました。その中心にあったのが、「深層学習(ディープラーニング)」です。
グーグル傘下のディープマインド社が作った囲碁プログラム「アルファ碁」が世界トップクラスの囲碁棋士、イ・セドルを破ったことは、皆さんの記憶にも新しいところだと思います。アルファ碁は当時のほかのコンピュータ囲碁プログラムのレベルをはるかに超える力を持っていました。その力の源泉には、機械学習の一手法であるディープラーニングが大きく関係していたのです。

ディープラーニングは世界中で研究が進んでいますが、ディープラーニングの潜在能力がどのくらいあるのかはまだよくわかっていないそう。

潜在能力の底を知ることには、人間が機械に支配されているころかもしれない。

尚、ポナンザにはディープラーニングは使われてないとのこと。

機械学習の中には、「ディープラーニング」「ロジスティック回帰」「SUM」「ランダムフォレスト」など様々な手法があるそうだが、正直ここは、なんのこっちゃという感じです。

シンギュラリティと「いい人」理論

シンギュラリティとは、技術的特異点のことで人工知能が人間の脳を超えるシンギュラリティが2045年と言われている。

先のようでそんなに遠くない未来だ。

この本では、人工知能の「卒業」をテーマにしてきました。このまま技術革新が進めば、少なくとも今世紀の終わりまでには、人工知能が人間から卒業し、「超知能」が誕生するのは確定的です。その彼/彼女を、人類が失望させないことが大事なポイントなのです。そのために私たちにできることは、冗談に聞こえるかもしれまえんが、インターネット上を含むすべての世界で、できる限り「いい人」でいることなのです。これを私は「いい人理論」と呼んでいます。

人工知能と人間は子と親の関係のようなもので、人工知能(子)は人間(親)からいろいろと学ぶため、人間の行動や思考が人工知能に大きく影響を与えるとのこと。

そのため、「いい人」でいることが必要だと。

でも、ずっと全員が「いい人」でいることなんて無理だと思うんだが。

しかもインターネット上を含むって、どれだけSNSで嫉妬や偏見や悪と呼ばれるものが垂れ流されてると思ってるんだろうか。

シンギュラリティが起きて、人工知能が合理的に考えたとき、人間は邪魔、みたいな判断を下す可能性ってもの凄く高いんじゃないかと思えてきた。

パンダ
さあ、どんな未来がくるか見届けよう。この時代に生まれてそれを見届けることができるのはある意味ラッキーかも。

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