
今回の書評は『会社に入ったら三年間は 「はい 」と答えなさい』だ。
最近、会社に勤めることに関して、「3年も我慢するなど愚か」「ダメだと思ったらすぐ辞めろ」など、会社で長く働くことを下に見るような風潮がある。
しかし、それは本当のところどうなのだろうか?
その疑問に答えてくれるのが本書である。
冒頭から一部引用してみよう。
本書は 、 「普通の労働者 =サラリ ーマン 」が普通よりちょっと頑張って 、普通よりちょっといい収入を得て 、普通よりちょっと幸せになることをねらいとしています 。
逃げるように転職するなら次の会社でも成功しない

もし 、今の会社から 「逃げ 」の転職をしたら 、その転職は絶対に成功しないと思ったほうがいい 。マイナスの流れが出ているときにやっても 、何事も成功しない 。
転職するならば、今の会社で何か小さなことでもいいから成し遂げたと思える実績を作ってから転職したほうがいい。
何もないまま逃げるように会社を辞めてしまっては、自分のアイデンティティが崩壊しかねない。
また、次の会社で自信を持って仕事をするには、何か成功体験をしておいたほうが絶対的に有利だ。
人は自信のありそうな人を見極める能力がある。
あなたもそうだろう。
極端な例を言うと、手術を受けるとして、自信満々の医者と自信のなさそうな医者、どちらに手術をまかせたいと思うだろうか。
これは他の仕事でもそうだ。
嘘でも自信は持っていたほうが役に立つ。
逃げるは恥だが役に立つ、そういうこともあるかもしれない。
しかし、多くの場合、逃げずに何かをつかもうとすることのほうがあとから考えて自分にプラスになることが多いものだ。
会社に入ったら3年間は働け

社会人になって基礎を築く最初の三年間を 、 「つまらない 」 「面倒だ 」 「なんでこんなことをしなければいけないのか ? 」と思って過ごしているようでは 、仕事の楽しさを理解できる日は来ないだろう 。
さて、3年働けなどと言ったら、フリーランスの人たちから「とっとと会社を辞めろ」と言われそうだが、転職ばかりを繰り返していると転職しづらくなることは勤め人たちはよくわかっている。
高い学歴や特別な技能があれば好きな会社で働き、また転職する、ということが可能かもしれない。
だがいわゆる普通の勤め人にはそれができない。
会社を辞めて何かを目指しても良いが、それが成功する可能性は高くなく、同じ会社で長く勤めたほうが安全なのだ。
本書の中では、最初の3年については大事に過ごせ、ということを言っている。
なんとなくつまらなそうに3年間を過ごした場合とそうでない場合は、その後の人生に大きく影響が出るということなのだ。
3年後、フリーランスになるのでもいいだろう。
しかしそれは3年間しっかりと働いた場合だけだ。3年間本業以外に副業のための土台作りをした場合だけだ。
スタートでつまづくと社会人としての人生の後続をずっと走ることになる。
突き抜けたいなら圧倒的な量をこなせ

何か物事を成し遂げている人は 、必ずどこかで 「圧倒的な量 」をこなしている 。その量を突き抜けた先にこそ 、人よりデキる世界があるのだ 。
効率よく仕事をすることは大事だ。
質を求めることも大事だ。
しかし、量をこなしていない人がそれを言っても何の説得力もない。
量をこなした人だけが見える世界というものがある。
量をこなせば質どうこうという話は言わなくてもわかるようになる。
質がどうこうと言っている人は、絶対的に量が足らない。
何かを職にしたいと思うのであれば、とにかく量を追求することだ。
人間は繰り返しで成長する生き物だ。
繰り返すことで身体や脳に沁みつく。それは良いことも悪いことも。
質の良いものを意識しつつ、圧倒的な量をこなせば、いつのまにか人より秀でていると気付くときが来るであろう。
おわりに、サラリーマンのゴール
最後におわりにからあなたへのエールを引用して締めるとしよう。
無理をして高いレベルの会社に入るだけが目標ではない 。身の丈に合った会社に入り 、そこで会社とともに成長し 、中小企業サラリ ーマンとしてのゴ ールをめざし 、自分なりの幸せをつかんでほしい 。
