
今回の書評は『21Lessons 21世紀の人類のための21の思考 ユヴァル・ノア・ハラリ』だ。
私たちが今いる時代は、大きな変革の転換点である。
AIの進歩だけでも相当な変革だが、それに相まってコロナウイルスにより、私たちの生き方は大きく変わるだろう。
そんな時代に必要なことは、自分で考えることだ。
考えることを放棄してしまっては負けだ。
誰かからの受け売りではなく、自分で深く深く考え、行動していかなければこれからの時代はおそらく生き抜くことは非常に困難だろう。
本書を読み、考える力を身につけると良いだろう。
本書は21の章で構成されている。
幻滅、雇用、自由、平等、コミュニティ、文明、ナショナリズム、宗教、移民、テロ、戦争、謙虚さ、神、世俗主義、無知、正義、ポスト・トゥルース、SF、教育、意味、瞑想、この21レッスンである。
どれから気になるところから読み始めると良いだろう。人それぞれ響く箇所は違うはずなので、どこから読んでも問題ない。
ひとつ引用しよう。
「あなたが大人になったときには、仕事がないかもしれない」
これは雇用の章から引用したものだが、2050年にはそうなっているかもしれない、という意味だ。
だが、おそらく仕事がなくなるということはないだろう。
産業革命のときも仕事がなくなると言われたそうだが、実際なくなってはいない。
なくなる仕事はもちろんあるだろうが、何かがなくなればまた別の新しい仕事を人間は生み出すのだ。
だから心配しなくていい。
30年後のことなど心配したところで意味はない。
今できることをやる以外ないのだから。
またひとつ引用しよう。
長期的には、巨大なデータ企業は十分なデータと充分な演算能力を併せ持つことで(中略)、得た知識を使って私たちのために選択をしたり私たちを操作したりするだけでなく、有機生命体を根本から作り直したり非有機生命体を創り出したりできるようになりうる。
世の中の流れは結局企業が作っているという面がある。
民間が作ったハードやソフト、システムを官公庁が当たり前のように使っていることを考えれば、政府と呼ばれる団体も民間企業がいて成り立っているといえる。
これから企業は更に力を持っていき、政府はその機能をどんどん縮小していくのではないかと思っている。
これは必然なのだと思う。
あらゆるものを見れば、政府にやらせるよりも民間のほうがスピード感もあればコストパフォーマンスもいい。
誰が情報を制するかで今後の世界の流れは変わるはずだ。
今で言えば、グーグル、アップル、マイクロソフト、フェイスブックが情報を制していると言えるかもしれないが、中国企業の著しい成長はアメリカを脅かすものになるはずだ。
そこに日本企業がどれだけ食い込めるか、それが日本人の今後の生活にも影響するだろう。
中小企業ばかりで効率の悪い日本社会が台頭するには、いかに大きな企業を作り、世界と戦っていくかという点にかかっているだろう。
そのなかで私たち個人にできることは何なのか、この21のレッスンをとおして考えようではないか。